抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・64話「火影の伝令…!!」

塔に到着したナルト達。
天地の巻物を開きます。

 

2つの巻物の中身は、中央に「人」と書かれた術式。
サスケは「口寄せの術式」だとわかります。

 

サスケ:「ナルト! サクラ! その巻物を放せ!!

 

2人が放り投げた巻物から、1人の人物が現われます。

「よっ! 久しぶりだな」

 

それはイルカ先生でした。
傷だらけの3人を見て、

 

イルカ:「苦労したみたいだな… お前たち」

 

どうしてイルカ先生が口寄せで出てくるのか、3人とも訳が分かりません。
イルカは「”第二の試験”の最後は、中忍が受験生を迎えることになっている」と説明します。
たまたま自分が、ナルト達の伝令役を仰せつかったと言います。
伝令役とは?

イルカ;「フ−−−  時間ギリギリだな」

 

時計を見て、時間を確かめるイルカ。

 

イルカ:「”第二の試験”…  3人とも突破おめでとう

 

「第二の試験」の合格を祝って、一楽のラーメンでもおごってやりたいところではあるが…と、イルカが言い終わらないうちに、ナルトがイルカに飛びつきます。

 

ナルト:「やった−−−!!

 

イルカに抱きついて、幼い子供のようにはしゃぐナルト。

 

イルカ:「お… おい! ナルト! 話は最後まで…」
ナルト:「やった!やった!やった! やったってばよ−−−!  うれし−−−−−−!!

 

サクラとサスケは緊張が切れて、座り込んでしまいます。

 

サクラ:「はぁ…」
サスケ:「元気なヤツだな……」

 

ナルトはイルカから「落ち着きの無いところは、相変わらずだな」と言われてしまいます。

 

サスケ:「もし オレらが試験途中で巻物を見たら…  イルカ先生 アンタはどうするつもりだったんだ!」
イルカ:「サスケ お前も相変わらず するどい奴だな…」

 

「第二の試験」のルールは、受験者の確実な任務遂行能力を試すためのもの。
もし試験中にルールに反する条件で巻物が開かれた場合は、目の前で受験者には、「第二の試験」終了時刻まで気絶していてもらうように、イルカは命じられていたと説明します。

 

サスケ:「フン… 開かなくてよかったな …お前ら…」

 

どっきりするナルトとサクラ。ナルトは手を合わせて、カブトに感謝します。

 

サクラはイルカ先生に、壁に貼っている文章について尋ねます。
文字が虫食いのように抜けています。
ナルトは合格したのだから、どうでもいいと無関心です。
イルカはそれを説明するのも、伝令の役目だと言います。

 

文章は火影様が記した「中忍」の心得でした。
イルカが解説します。

 

この文章の「天」とは人間の頭を指し、「地」は人間の体を指している。
「天なくば智を知り機に備え」とは、ナルトを例に挙げると、「様々な理(ことわり)を学び、任務に備えなさい」ということ。
「地なくば野を駆け利を求めん」は、サクラの弱点が体力にあるなら、「日々鍛錬を怠らないようにしなければなりませんよ」ということ。
そして天地の両方を兼ね備えれば、どんな危険に満ちた任務も正道、つまり覇道ともいえる安全な任務になりえるということ。

 

サクラは抜けて文字について尋ねます。
答えは中忍を意味する文字、天地の巻物にあった「人」という一文字。

 

5日間のサバイバルは、受験生の中忍としての基本能力を試すためのもの。
中忍とは部隊長クラス、つまりチームを導く義務がある。

 

イルカ:「任務における知識の重要性 体力の必要性をさらに心底心得よ!!  この”中忍心得”を決して忘れず 次のステップに挑んで欲しい」

 

イルカが仰せつかった伝令が終わりました。
元気よく「了解!!」と敬礼するナルト。
しかしイルカの顔は冴えません。

 

イルカ:「…… だが 最後の”第三の試験”……  ムチャはするなよ…  特にナルト お前が一番心……」
ナルト:「この木ノ葉の額当てもらった時から オレってば もうアカデミー生じゃないんだぜ!!  心配無用だってばよ!!」

 

ナルトはイルカの言葉を遮るように言います。

 

ナルト:「それに これは イルカ先生がくれた一人前の証だろ! 落ち着きがないとこは変わってねーかもしんねーけど  オレは もうガキじゃねェんだ!!   今は……忍者なんだからな!」

 

イルカはナルトに謝ります。

 

イルカは今回の伝令役を、アンコに頼み込んだ時を思い出していました。

 

イルカ:「あいつらの力は 私が一番知っています  どうせ無理なら 私が引導を渡したいんです」
アンコ:「………そんなにこだわるなら そいつらのチームはお前に任せるけど… わざわざ恨まれ役を買って出るとはね…」

 

イルカはアンコに礼を言います。

 

アンコ:「…でも  こいつら あのカカシのとこのでしょ… あいつが推薦した奴らなら 私も期待してるんだけどね」

 

カカシが三代目火影にナルト達を推薦したとき、イルカはカカシに反対しています。
その時カカシはイルカに「口出し無用! アイツらは もうアナタの生徒じゃない ……今は…… 私の部下です」と言い返しました。
「第二の試験」を突破した3人を目の前にして、「この子たちの力を本当にわかっているのは… カカシさん… アナタの方かもしれませんね……」と思うイルカでした。

 

三代目も塔に着いたようです。
アンコにまだ呪印が痛むか気遣っています。

 

大蛇丸は木ノ葉伝説の「三忍」の内の一人。
暗部すら手が出せなかった、手配書(ビンゴブック)S級の抜け忍。
すでに死んだという噂もあったのに、それがなぜ今更この里に現れたのか。
試験関係者達が疑問に思っています。

 

三代目は大蛇丸の目的を察知します。

 

三代目火影:「サスケじゃろう………」

 

そこへ報告が入ります。
「第二の試験」通過者、総勢21名。
中忍試験規定により、「第三の試験」は5年ぶりに予選を実施。
これで「第二の試験」は終了です。

 

三代目は大蛇丸の動きを見ながら、試験はこのまま続行すると指示を出します。

 


イルカはナルト達が第二の試験を、突破できないと予想していたようですね。
最悪の場合、自分が引導を渡すことも考えて、伝令役を志願しています。

 

サスケが「イルカ先生」と呼んでいました。カカシは呼び捨てなのに、この違い。
小さい頃からアカデミーの教師として接してきたイルカは、サスケにとってもやはり「先生」なのですね。
おそらく入学当時は存命していた両親からも、「学校の先生の言うことをよく聞いて勉強しなさい」くらいのことは言われていたでしょう。

 

試験の突破を聞いて、ナルトがイルカに抱きついているのも微笑ましいです。
もしこの伝令が他の中忍だったら、こうはしなかったはず。
ナルトがイルカに心を許して甘えているのが、よく伝わってきます。
ナルトにとっては先生以上の存在でしょう。
両親も家族もいないナルトには、イルカは肉親のようでもあり、生まれて初めて自分を認めてくれた恩人でもあります。

 

やはりここでも、ナルト達に対する目線が、イルカとカカシでは違うと感じます。
イルカの中には幼い頃からの3人の姿が刻まれていますから、どうしてもその頃のナルト達とダブらせて見てしまうと思います。
親が自分の子供が大きくなっても、小さかった頃の子供のように見てしまうのと似ています。ある意味、客観的に見れていないところがあります。
それに対してカカシは、卒業後の彼らしか知りませんから、クールに見ることができます。
イルカがナルト達をいつまでも子供扱いするのは、それだけ心情的に近いところにいるからです。イルカにはカカシとは違う温かさがあります。

 

しかしある程度子供が成長したら、親元から巣立っていかなくてはなりません。
現実の世界では、30過ぎてもなかなか親離れできない人が増えていますが、昔は武士の子は15歳で元服を迎えていました。
ナルト達の世界では、アカデミーを卒業して下忍になった時点で、親元から巣立って大人の世界へ仲間入りです。
イルカ(=親元)からカカシ(=大人の世界)へバトンタッチするのは、子供の成長を考えれば自然なことです。
でも自立しても親は親。イルカが常に3人のことを、特に身寄りがなく、成績も悪かったナルトのことを気にかける気持ちはよくわかります。

 

それはナルト達も同じかもしれません。カカシが上司になっても、イルカのことを忘れていませんし、カカシとは違った接し方をしています。
ナルトはカカシには、あんな風に抱きついて、はしゃいだりしません。
サスケでさえ「イルカ先生」ですからね。

 

現実の世界にもイルカのような教師がたくさんいたら、いじめの問題も少しはなくなるんじゃないかと思ったりします。

 

(64話は、コミック巻ノ8に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ8) (ジャンプ・コミックス)

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