抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・688話「写輪眼の…!!」

あの世とこの世の狭間で、リンから温かく迎えてもらえたオビト。
涙が止まりません。

 

「カカシ外伝~戦場のボーイズライフ~」でも、手で涙をぬぐうオビトの姿が描かれています。
NARUTOのキャラクターの中で、任務中に現場で涙を見せるのは、オビトが一番多いんじゃないでしょうか。
敵に襲われた時も涙を浮かべていたし、カカシが左目を傷つけられた時も、本人よりオビトの方が動揺して泣いていました。
当時は自分のことを、「みんなに助けられてばかりいる、口先だけの落ちこぼれだ」と思っていました。

 

オビトが目をこすって涙を拭く仕草は、当時のままです。

 

オビト:「リン… もう少しだけ待ってくれないか?」

 

リンはオビトの言葉に、一瞬戸惑います。

 

オビト:「あの世に行く間…ほんの少しでいい… もう少し遠回りして行きたいんだ」
リン:「……今度は誰を助けたいの?」

 

さすがはリン。オビトが何をしたいのかすぐに察します。

 

オビト:「カカシだ
リン:「

 

オビトは繋いでいたリンの手を離します。

オビト:「やっとリンと二人っきりになれたんだ すぐにあいつにこっちに来られちゃ台無しだ それに……あいつが何もできないで 畑に突っ立ってる文字通りのカカシみたいになってるのは… なんかシャクなんだ!

 

口を尖らかせて、一生懸命リンに説明するオビトが微笑ましいです。

 

リン:「色々あったけど… やっぱり仲がいいんだね」
オビト:「そ…そんなことねーよ! あいつとオレは水と油だ!」

 

照れくさそうに否定するオビト。声を殺して笑うリン。
オビトの本心は、完璧にリンに見抜かれています。

 

リン:「すぐに行けるの?」
オビト:「ああ… チャクラってのは 2つの世界をつなげる力だ カカシに会ってくるよ

 

神威で移動するオビト。

 

リン:「ここで待ってる」
オビト:「わりーな リン… すぐ戻って来っからな」

 

崩れたオビトの体から、人型(ひとがた)に似たチャクラが立ち上って、カカシの体に入っていきます。

 

精神世界でオビトに会うカカシ。
カカシもミナト班時代の姿になっています。

 

カカシ:「オビト!? ……」
オビト:「あの世に行く前に お前が直ぐこっちへ来ないよう 念押しておこうと思ってよ」

 

オビトは「せっかく上忍祝いのプレゼントでこの眼をやったのに、それが帰って来たんじゃ寝覚めが悪い」と言います。

 

オビト:「…つっても もうこの世でめざめることもないんだが… …そんな事より…オレはさっきナルトに火影になれっつったんだけどよ ただ そりゃ七代目だ
カカシ:「
オビト:「六代目火影はお前がなれ カカシ
カカシ:「!!
オビト:「まだ就任した訳じゃないが 祝いのプレゼントを先にやっとくよ …期限付きだが役に立たないものじゃない… 分かってるよな? …そもそも他国にまで轟かせた自分の勇名を忘れちゃいないだろ? 写輪眼のカカシ”って名を!

 

うつむいていたカカシが顔を上げると、両目が万華鏡写輪眼になっています。

 

切り落とされたカグヤの左腕に潜んでいた黒ゼツに、ナルトは六道の黒い棒を突き刺します。
動けない黒ゼツ。
サスケは須佐能乎でカグヤと交戦中です。須佐能乎の攻撃をかわすカグヤ。
なかなかカグヤを攻略できません。
ナルトが参戦します。

 

ナルト:「行くぞ皆(みんな)ァ!!

 

それに呼応する尾獣達。
本体+8体の影分身でカグヤを攻撃します。

 

仙法 超尾獣螺旋手裏剣(ちょうびじゅうらせんしゅりけん)!!

 

9体の尾獣のチャクラをそれぞれに練り込んだ螺旋手裏剣が、一斉にカグヤに命中します。
衝撃波で吹き飛ばされるサスケを、本体のナルトが受け止めます。

 

サクラ:「ナイス ナルト!!

 

カグヤの左腕の傷口から、体内の尾獣達のチャクラが出て、カグヤの姿が巨大な獣の姿に変わります。
顔はウサギに似ていて、額には輪廻眼の第3の目があり、体には尾獣達の顔が浮かんでいます。

 

ナルト:「また…でけェーのに… 何だ?…狐?狸?…ムジナ?…うさぎか…?
サスケ:「…何でもいい これで近づき易くなった …封印もし易くなる!」

 

(黒ゼツ):これは…人型じゃない!? 母さんの意思で十尾化したんじゃないぞ さっきのナルトの攻撃に尾獣共が呼応して 分離しかかっているんじゃないのか!? 安定していない!!

 

十尾化したカグヤから触手のような手が、何本も出てきました。
ナルトとサスケに手が伸びていきます。
影分身の一人が、本体とサスケを突き飛ばして待避させます。
影分身ナルトは手に触れたとたん、吸収されてしまいました。

 

ナルト:「サスケ その白い手につかまんな! 一瞬で取り込まれちまうぞ!! しかも速ェー!!
サスケ:「分かっている!」

 

サクラ:「キャ!!」

 

白い手はサクラも狙っています。
チャクラコントロールによる移動術で、必死に逃げるサクラ。
しかし手のスピードが速い。

 

ナルト:「サスケ! お前の瞳術でサクラちゃんを!!

 

輪廻眼を発動しようとするサスケ。

 

サスケ:「…!

 

ガッ

 

須佐能乎の手がサクラを掴み、そのまま待避します。

 

ナルト:「サスケエーーーーーーーーーーえ!?

 

サスケが須佐能乎で助けたと思ったナルトでしたが、振り向くとサスケ本人がいます。

 

サスケ:「須佐能乎…!? 誰だ!?」

 

黒ゼツ:「!? どういう事だ!?」

 

サクラ:「カカシ先生!?

 

(カカシ):オビト… ありがとう…

 

サスケ:「…バカな…そんなハズが…」
ナルト:「コピー忍者 写輪眼のカカシって言うぐらいだからな!! 先生ってば!」
サスケ:「…もう写輪眼は持ってないはずだが…」

 

(カカシ):一緒に見ていてくれ 今度こそ…あいつらをーー 世界を守る!!

 

 

NARUTOはひたすら、「人が繋がることで生み出される力」を描いてきていて、今回はチャクラによる繋がる力を、具体的に描写しています。
カカシの戦線復帰は、六道仙人が理想とした「人と人を繋ぐためのチャクラ」の実例の1つだと言えます。
オビトが「チャクラってのは 2つの世界をつなげる力だ」と言っているのは、「人と人を繋げる力」と本質的に同じです。

 

「使い方次第で、チャクラは人を幸せにも不幸にもする」
平和のためのチャクラの使い方を、忍達が学んでいけるといいですね。

 

カカシの須佐能乎を見たナルトとサスケの会話が、ボケとツッコミのようで面白かったです。
コピー忍者写輪眼のカカシ先生だから、須佐能乎だって何だってコピーできちゃうよね!」
「オイオイ、今、写輪眼持ってないでしょ」
って感じで。

 

インドラとアシュラのチャクラが転生者に寄り添っているように、オビトのチャクラがカカシに寄り添っています。
今のカカシは一人ではありません。
二人は事実上のツーマンセルを組んで、仲間と世界を守るために戦います。
一人では出来ないことでも、二人ならやれる。

 

カカシはオビトと一緒に戦いながら、神無毘橋でオビトと別れてからの、空白の時間を埋めていっている気がします。
カカシは、神無毘橋であんな結果になったのは、自分が任務を優先したためだと、ずっと自分を責め続けていました。ナルト達が居ても、カカシの心の穴は、完全に埋まることはなかったはずです。
オビトは死んでしまったけれど、チャクラを介してオビトの意思と通じています。
その意思を側にしっかりと感じながら、カカシは戦っていると思います。

 

カカシの心の穴も埋まっていくといいなあ。

 

オビトは肉体を持っていたときには出来なかったことを、やろうとしているのでしょう。
回り道をしたけれど、オビトもようやくリンとの約束を果たせそうですね。
リンも二人の様子を見て、嬉しくてたまらないと思います。

 

暁の角都は他者の心臓と、心臓に絡んでいる経絡系のチャクラを取り込み、そのチャクラ性質の術が使えていました。
他者のチャクラを取り込むことで、その人が持つ術や技が使えるわけですから、オビトのチャクラを体内に宿したカカシが、万華鏡写輪眼を使えているのは納得できます。

 

オビトが今まで須佐能乎を出さなかったのは、片目だったので使えなかったと考えるのが自然でしょう。
両目が揃ったときには、既に輪廻天生を使わされて、黒髪が白髪になるほど生命エネルギーを消耗してしまったし、十尾の抜け殻(外道魔像)も抜かれた後だったので、須佐能乎を発動するほどの力はなかったと思います。

 

余談ですが、須佐能乎は術者に負担を強いる術です。通常は「永遠の万華鏡写輪眼」でなければ、使えば使うほど視力が低下します。イタチの目を移植する前のサスケがそうでした。
オビトの目は「永遠の万華鏡写輪眼」ではありませんが、オビトの肉眼そのものではないので、視力低下は起こらない可能性が高いと思います。

 

オビトが「期限付き」と言ったのは、いつまでを差しているのでしょうか。
これは案外、キーワードかもしれません。
リンには「すぐ戻る」と言っていますが、この「すぐ」はあまり当てにならない気がします。
この世とあの世では時間の長さが違うと思うので、あの世では「すぐ」でも、この世ではもっと長いかもしれません。
カグヤを倒すまでなのか。
カカシが六代目火影になるまでなのか。
火影になったとたんに写輪眼が使えなくなるのもどうかと思うので、次のナルトにバトンタッチするまでなのか。
いずれもあり得そうに思えてきます。

 

もしも、オビトのチャクラが憑依したままカカシが火影になったら、オビトも火影になる夢を実現できますね。
リンに「オレ、火影になったよ」と報告できるかもしれません。
そうなったら、六代目火影のカカシと一緒に、今までの分を補ってお釣りが来るくらい、オビトにも火影として働いてもらわないとね〜。

 

ともかく、カカシが写輪眼を使えるのが「期間限定」ということは、押さえておいた方がよさそうです。

 

「六代目火影」「七代目火影」という言葉が、具体的に出てきたことにも注目です。
ダンゾウは正式に「六代目」と承認されていませんから、綱手の次の火影は「六代目」に当たります。
ナルトと綱手の年齢差を考えると、ナルトの前に誰かが火影を務めるのは、おかしな話ではありません。


三代目の前例がありますので、現役の火影が死亡したから次の火影を選ぶのではなく、火影自身の判断で引退し、世代交代することもあり得ます。
綱手が戦後処理をして、人心一新のために引退をし、次の火影にバトンタッチすることは十分考えられます。


そうなると戦後処理の後、地均し(じならし)の時期がしばらく続きますから、その役割は若いナルトよりも、カカシの方が適任な気がします。
終戦直後は課題が山積しているはずですので、たとえ参謀にシカマルがついたとしても、若いナルトでは難しいと思います。
あまり考えたくありませんが、綱手は忍法・創造再生を多用していますので、寿命を縮めている可能性が高いです。予想外に早く、六代目に交代するかもしれません。

 

どういう形で最終回を迎えるのか予想できませんが、ナルトが火影になるのは、まだまだ先のように思えてきました。