抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・85話「今こそ…!!」

ガイ:「……木ノ葉の蓮華は二度咲く…」

 

ガイの言葉にサクラは、かつてリーが同じことを言っていたのを思い出します。

 

我愛羅もリーも、次で決めるつもりです。

 

カカシは、ガイの言葉に衝撃を受けます。

 

カカシ:「まさか ガイ… お前!」
ガイ:「お前の想像通りだ」
カカシ:「……! じゃあ… 下忍のあの子が ”八門遁甲(はちもんとんこう)の体内門(たいないもん)”を…」
ガイ:「……そうだ 開ける……」

 

(カカシ):………なんてこった……

 

サクラは意味が分かりません。

 

ガイ:「……… あの子には その才能があった…」
カカシ:「いくら才能があったとしても…そんな危険な技を…! ”裏蓮華(うられんげ)”だけは… 教えちゃならん技でしょうが!

 

ネジは「裏蓮華」という言葉を初めて聞くようです。
ネジも知らない技を、リーは隠し持っていました。

 

カカシ:「あの子がお前にとって何なのかまで詮索するつもりはないし 私情をはさむなとは言わないが…限度ってもんがある… …見損なったぞ…ガイ!」

 

ガイは横目でカカシを睨みながら言います。

 

ガイ:「………… お前が… あの子の何を知ってる……」

 

確かにカカシの言っていることは正論です。
しかし常に正論が「正しい」とは限りません。
それが人というもの、人生というものの不思議さです。

 

ガイ:「……あの子には 死んでも証明し守りたい大切なものがある だからオレは…それを守れる男にしてやりたかった… ただそれだけだ……」

 

ガイがその技を教えた時のこと……。

 

ガイは「切り札となる新しい技を教える」と、リーに伝えます。
大喜びではしゃいでいるリーに、ガイは一喝します。
ガイの迫力に驚くリー。

 

ガイ:「初めに言っておく この技は蓮華以上の禁術だ… …そして お前にとって最も特別な技となる」
リー:「……! 特別……」
ガイ:「ただし… それだけにこの技を使用するには 一つ厳しい条件がある… ………それは…」

 

試合会場のリーが、技を仕掛け始めます。

 

カカシはリーの異常な体力の回復が、”休門”をこじ開けたためだと気がつきます。

 

カカシ:「…… ガイ… 今あの子は”八門遁甲”のいくつまでの門を開ける…!?」
ガイ:「五門だ
カカシ:「!!!

 

(カカシ):………努力でどうこうなるものじゃないぞ… あの子… やっぱり天才か!

 

カカシとガイの会話を聞いていたサクラは、「八門遁甲」の意味を尋ねます。

 

ガイ:「裏蓮華に行くまでの前準備で行う 『リミッター外し』のことだ」

 

カカシの解説によると、チャクラの流れる経絡系上には、頭部から順に「開門(かいもん)」「休門(きゅうもん)」「生門(せいもん)」「傷門(しょうもん)」「杜門(ともん)」「景門(けいもん)」「驚門(きょうもん)」「死門(しもん)」の、チャクラ穴の密集した場所がある。これらを八門という。
八門は、体を流れるチャクラ量に常に制限を設けているが、「蓮華」はその制限の枠をチャクラで無理矢理外して、本来の何十倍にも当たる力を引き出す。

 

しかし、それには代償がありました。

 

カカシ:「たとえ その”力”と引き換えに 術者の身体が崩壊してゆこうとも…」
ガイ:「ちなみに表蓮華は 一の門・開門を開けるだけだ」
サクラ:「……! じゃあ…裏蓮華は…」
ガイ:「”開門”で脳の抑制を外し ”休門”で無理矢理体力を上げる… そして第三の”生門”から裏蓮華に入る……」

 

サクラは表蓮華でボロボロになったリーを見ているので、裏蓮華を使用することがどういうことか理解します。

 

カカシ:「そうだ… この技はまさに諸刃の剣 八門全てを開いた状態を”八門遁甲の陣(はちもんとんこうのじん)”といい… 少しの間 火影すら上回る力を手にする代わり その者は必ず……死ぬ!

 

我愛羅はリーの変化に気がつき始めます。
リーの脳裏に浮かぶのは、予選を突破したネジ、サスケ、そしてナルトの顔。

 

(リー):こんなところでボクだけ…負けるわけにはいかない!! ガイ先生… 認めて下さい… …今こそ…… 自分の忍道をつらぬき守り通す時!!

 

第三 生門…開!!

 

リーの体の色が赤く染まっていきます。
驚くサクラ、ナルト、ネジ。

 

さらに 第四 傷門…開!!!!

 

リーの顔に鼻血が流れます。

 

リー:「ハァアアアア!!!

 

(カカシ):…何て奴だ…

 

ガツ

 

我愛羅を攻撃するリー。避けきれない我愛羅
動きが速すぎて、周りで見ているナルト達にも、リーの姿が見えません。
我愛羅の砂の鎧にヒビが入っています。砂を操り、防戦する我愛羅

 

(サクラ):…砂なんかもう まるきっり追いついてない!!

 

ド カ

バ シ

 

我愛羅:「くっ!」

 

ドガガガ

 

リーの連続体術攻撃が、我愛羅を襲います。

 

我愛羅):なに…! この砂の鎧が…はがされていく…!
(リー):また砂の鎧ですか… こうなったら………

 

リーの筋肉の切れる音がします。

 

(ネジ):あれがリーなのか… いつの間にこんな…

 

リー:「これで最後です!!

 

第五 杜門−−−開!!!

 


今話はガイとカカシに目が行ってしまいました。
二人を対比して考えてしまいます。

 

ガイが八門遁甲をリーに教えたことについて、カカシは「見損なった」と、強い拒否反応を示しています。
それに対してガイは、「お前が… あの子の何を知ってる……」と答えています。

 

八門遁甲は命と引き替えにする技。

 

六道仙人化したマダラに対抗するため、ガイは八門遁甲の陣で戦います。(667話〜669話、672話)


この戦いを見れば、カカシの意見に異議を唱えるのは厳しいし、子供にこの技を伝授するのは正気の沙汰とは思えない話です。

 

しかしカカシの正論よりも、ガイの言葉にズシッと重みを感じてしまうのは、彼の覚悟を感じるからです。
技の危険性を十分すぎるほど認識した上で、ガイは伝授を決めています。

 

アカデミー入学当時から、リーは忍としての才能がありません。
当時は体術も人並み以下ということでしたので、まさに「落ちこぼれ」だったわけです。
たぶん消去法でいって、最後に残ったのが「他の術よりマシの体術」だったのではないでしょうか。

 

まだ10才未満では体もできていませんし、体術が劣ると結論を出すのは早すぎると思いますけどね。

 

アカデミーを卒業して下忍になったリーは、体術のスペシャリストとし成長していきます。
ネジにどうしても勝てないリーに、ガイは喝を入れ、励まし、リーに努力を諦めないことを教えます。(84話

 

52話にあったように、ガイは蓮華を、ネジ、テンテン、リーの三人に教えています。しかしマスターできたのはリーだけでした。
ネジに勝てなくて努力を諦めかけたリーが、ようやく自分に自信と誇りを持ち始めたのは、この頃からではないかと思います。
この時ガイが三人に教えた蓮華は「表」で、その上位にあたる「裏」蓮華は、リーにのみ伝授されたわけです。

 

ガイが「自分も落ちこぼれだった」と言っていたのを、初めて読んだ時は驚きました。
ガイは、カカシと同じ上忍です。
この一言で、彼がどれほど努力をして、自分を変えてきたかを想像することができます。

 

だからリーの気持ちが自分のことのように感じられるし、投げ出しそうになったリーに「諦めて欲しくない」と思ったのだと思います。

 

カカシは「落ちこぼれ」ではありませんでした。
同期の中で上忍になったのも早くて、確か13歳か14歳頃だったはずです。
元々カカシには、忍の才能がない人間が、一流の忍になるために味わう苦しみや葛藤は、頭ではわかっても、実感しにくいでしょう。
だから常識的な判断で、禁術を教える無謀さを批判しまう。

 

カカシが心配する通りに、禁止技を教えたために、リーが若くして死亡するかもしれません。
八門遁甲を伝授されて、リーが自分の忍道を貫けるのならば、それもアリだと思います。

 

人は長生きをするために生れてきているのではなくて、どう生きるかが問われていると私は考えるので、ガイの選択に賛同したいです。
でも長く生きなければ成し遂げられないこともあるので、簡単に無謀な賭けをするつもりもありません。

 

結局どちらが正しいとは言えないです。

 

正解がない事柄は、世の中に無尽蔵にあります。

 

でもツイッターや動画サイトのコメントを見ると、単純に白黒つけたがる人が増えているように思えて、悲しい気持ちになります。

 

今の学校教育の問題点の1つが、「世の中には正解がない事柄の方が多い」という事実を教えていないことだと、私は考えます。
教師自身が学校を卒業して、また学校という特殊な世界に就職するのですから、いわゆる一般社会の経験がありません。
私は新卒で就職してからずっと働いていますが、学校という組織は特殊な世界です。
その狭い世界しか知らない人間が、子供を教育する仕組みそのものを変える必要があると思っているんです。
なぜかというと、過去に教職を辞めて転職してきた同僚と一緒に仕事をした時に、社会常識も含めて感覚のズレが多くて、苦労したことがあるからです。
学校という組織しか知らない人間が、どれほど世間の感覚や常識からずれているか、一緒に仕事をしたら分かると思います。
企業に勤めた経験のある人を教職員に採用するなど、抜本的に制度改革した方がいいと思うんですね。公務員(教職員も公務員です)になる子の方が少数で、ほとんどは一般企業に勤めるか(派遣や契約社員も含みます)、フリーランスになるか、起業するかですから。

 

NARUTOのアカデミーの教師達は、教師であると同時に、実戦にも出る現役の忍達です。
現場を経験している人だから、何を子供達に教えるべきか、何が子供の将来に必要なのかがわかっています。
学校教育は子供の学力を上げることはあたりまえとして、それと同時に「子供が世の中に出てから必要なことを教える」視点が必要だと思います。

 

NARUTOを読んでいると、色々なことを考えさせられるんですよね。思考がどんどん広がって、それが楽しくもあります。

 

(85話は、コミック巻ノ10に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ10) (ジャンプ・コミックス)

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