抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・90話「修業どーすんだ!?」

本選の初戦で、ネジと当たることになったナルト。勝てば、次はサスケか我愛羅と対戦することになります。
内心焦っているナルトは、カカシ先生に修業を付けてもらうように頼みます。
しかし、カカシは自分の代わりに、エビスにナルトの修業を依頼していました。

 

カカシ:「エビス先生が… ムッツリスケベ…?」

 

カカシには、何のことだか分かりません。

 

ナルトはエビス先生が付くことに納得できません。

 

ナルト:「だいたいこいつ オレより弱いってーの! だってさ! だってさ! 昔 オレのハーレムの術で こいつってば…」
エビス:「!!

 

エビスは咄嗟に、ナルトの口を塞ぎます。

 

カカシ:「ハーレムの術…?」

 

まだ当時は、カカシはこの術を見たことがないので、ますますワケが分かりません。

 

エビス:「い… いや… 何でもありませんぞ ハハ…」

 

(エビス):後で好きなもん いくらでもおごってあげるし買ってあげますから… そのことは黙ってなさい!
(ナルト):……… 絶対だぞ!

 

カカシは二人が知り合いだったことを、知りませんでした。

 

エビス:「ハハ… まぁ くされ縁ですけどねェ…」

 

ナルトはエビスが担当することに、どうしても承服できません。
エビスもカカシの頼みでなければ、ナルトの面倒を見るつもりはなかったと言います。
カカシは二人をなだめます。

 

カカシ:「ナルト−−− エビス先生はエリートを教える専属家庭教師… 特別上忍なんだぞ! 教えるのはオレより上手いよ ホント!」

 

要するにエビスは、教育の専門家といったところでしょうか。

 

カカシ:「ま… ナルト お前はオレが教えた7班3人の中で…一番基本ができてない… 今度は丁寧に教えてもらえ」

 

ナルトは、自分のどこがサクラやサスケと比べて劣っているのか、全く理解できないので、腹を立てています。
カカシは溜息をつきます。これ以上カカシが言っても、納得しないようです。
カカシはエビスに解説を求めます。

 

エビス:「ナルトくん… 君や他の2人ついて カカシ先生から話を聞き分析してみたところ……… 君は チャクラのコントロールが上手くできていないことが分かる」

 

さすが教育担当の特別上忍です。3人を見ていないのに、仕入れた情報から的確に分析しています。

 

エビス:「君のダメなところを 順をおって具体的に説明しましょう まずこれを見て下さい」

 

エビスが見せた図は、忍者が”忍術””体術””幻術”を使用する時に、体内を流れる”身体エネルギー”と”精神エネルギー”、つまり「スタミナ」の流れを簡単に表したものです。

 

まず、”体術”を使用する場合は、コントロールが一番簡単です。
印は必要ありませんし、例外はありますが、チャクラも必要なしです。
必要な体術の技の分だけ、スタミナを自然と消費するだけです。

 

しかし、”忍術”や”幻術”を使用する場合は、違います。
発動したい忍術や幻術の種類によって、必要な量だけのチャクラを練らなくてはなりません。
図で説明すると、「チャクラを練る」とは、”スタミナ”を”チャクラ”に変化させることです。
しかも、複雑な印で、そのチャクラ量を術の種類に応じて、上手くコントロールしなくてはなりません。

 

体術、忍術、幻術で使われたエネルギーは、放出されて、消えて無くなってしまいます。つまり、チャクラに変えられたスタミナを、もう一度スタミナに戻すことはできません。
スタミナがエネルギーの源ですので、スタミナ0%、即ちチャクラ0%で死んでしまいます。

 

以上が基本知識です。

 

エビスは、具体的に「分身の術」で説明します。
前提条件は、「4人分身に必要なチャクラ量を、スタミナの30%とする」。

 

サクラの場合→ ぴったり30%だけ、チャクラを練ることが出来る。そして、印を結び術を発動するときも、チャクラ量を上手くコントロールできるため、30%のチャクラをすべて使って、きれいに4人に分身ができ、70%のスタミナが温存できる。

 

正直に言って、ナルトには、この説明が理解できません。

 

サスケの場合→ チャクラを練るのがヘタなので、30%でよいのに、必要以上に40%以上も練り込んでしまう。(ここでは40%練り込んだとする) しかし、印で行うチャクラコントロールは、サクラと同じく完璧なので、必要な30%のチャクラを使って4人分身はできる。ところが、余分に練り込んだチャクラをスタミナに戻すことはできないので、10%のチャクラは無駄になる。したがって、スタミナは60%しか温存できない。

 

ナルト:「なんだぁ! サスケの奴もたいしたことねーなぁ! ハハァ!」
エビス:「君の場合… 他人のことを笑ってる場合じゃないぞ!」

 

ナルトの場合→ ナルトはサスケよりも、さらにチャクラを練るのがヘタなので、30%でよいのに、50%以上も練り込んでしまう。(ここでは50%練り込んだとする) おまけに、印で術を発動するチャクラコントロールが下手すぎて、30%分使うべきところを、10%しか使えない。無駄になったチャクラを40%分も残して、分身2人がやっと。その結果、スタミナは50%しか温存できない。

 

同じ術をやっても 3人でこれだけ違うわけです。

 

エビス:「まぁ これは少し大げさに 3人の違いを表したものですが ナルトくんは まずチャクラを練りすぎて体力を使いすぎ 術の発動も不安定です」

 

ナルトは、サクラやサスケよりも、自分の方が凄かった時だってあったと、反論します。

 

カカシ:「それはお前が たまたま3人に中で… スタミナがとびぬけていただけだ」

 

ただし、カカシの分析では、そのスタミナの根源である”九尾”の影響で、チャクラのコントロールが難しくなっています。
エビスにナルトを託して、カカシはその場を離れます。

 

エビスがナルトを連れてきたのは、温泉場。
隙間から女湯を見てしまうナルトです。

 

エビス:「コ コラ ナルトくん! そっちは女湯です! ハレンチな行為は 私が断じて許しませんぞ!!」
(ナルト):うっせーなぁ… ムッツリのくせして…

 

ナルトは修業の前に温泉に入るのかと、エビスに尋ねます。

 

エビス:「いえ! この温泉地で修業ですぞ!!」

 

エビスはナルトを、温泉地を流れている、湯の川の側に連れて行きます。
エビスが課す修業とは、「この湯の上を歩く」こと。

 

エビス:「カカシ先生から聞きました 手を使わない木登り修業は もうやりましたね その応用ですぞ!」
ナルト:「どゆこと? それにオレってば あんまり昔のこと覚えてないぞ!」

 

木登りでは、チャクラを必要な分だけ必要な箇所に集めて、ずっとそのチャクラ量を維持するだけでした。木は固定されているので、吸着しておくだけでよい。これは、一定量のチャクラを練り込む修業です。
ところが、水面に浮くためには、チャクラを足から水中に、常に適量を放出して、自分の体を浮かせる程度に釣り合わせなければなりません。
このチャクラコントロールは、維持するよりも難しい。水面歩行は、一定量のチャクラを、術などのために放出して使う、コントロール修業です。

 

ナルトがエビスの説明を理解できないので、エビスは実践して見せます。
まず、足にチャクラを溜める。そして、常に一定量を放出しながら、体の重さと釣り合わせる。
軽々と湯の上を歩くエビスを見て、ナルトはテンションが上がります。

 

ナルト:「よし オレもやってみるってばよ! まず足にためる! そして 一定量放出だったな!」

 

ドボーン

 

エビス:「やっぱりね」
ナルト:「あちゃちゃーーーー!!

 

この湯の温度は60度。失敗ばかりしていると、茹でダコになってしまいます。
何度も挑戦するナルトを見つめながら、エビスは木ノ葉丸のことを思い出していました。

 

エビス:「今日は いつになく気合いが入ってますぞ! お孫様! いつもなら 火影様に奇襲をかけに行く時間ですのに」

 

エビスは、ようやく自分の指導方針が通じたと喜んでいます。

 

木ノ葉丸:「そんなの もうやめたんだコレ……」
エビス:「そうですぞ やっとお分かりになりましたか 私の言う通りにすることが 火影になる一番の近道に………」
木ノ葉丸:「近道なんかないよコレ!
エビス:「 え?」
木ノ葉丸:「ナルトの兄ちゃんが言ってた」
エビス:「………」
木ノ葉丸:「火影になるなら… それを 覚悟してやれって!」

 

ナルトはぐらつきながらも、初めより浮けるようになっています。

 

(エビス):このチャクラコントロールのコツを これほど早くつかむとは……… …まさか君がここまで成長するなんて… 確かに何事においても 近道なんてない… 私は 君を誤解していたようだ… 君は私より よっぽど頭のいい教師だった そして… ただの化け狐でもなかった……… 君は 立派な−−− 木ノ葉の忍者だった!

 

ナルト:「あーーーーーー!」

 

ナルトが指さす方向をエビスが見ると、女湯を覗いているオヤジがいます。

 

エビス:「フッ どこの誰だか分かりませんが ハレンチは この私が許しませんぞーーーーー!!」

 

エビスがオヤジに向かって走り出します。

 

ボン

 

突然、巨大なカエルが出現し、長い舌でエビスを攻撃します。

 

エビス:「うぎゃああ!

 

オヤジ:「騒ぐなっての…ったく バレたらどーすんだっての!」

(ナルト):ムッツリスケベが負けた? な…何だってばよ! あのオープンスケベはぁ!!?

 


NARUTOの初期の頃は、術や技の説明が多いので、情報量も多いですね。
チャクラと術や技の関係が図解されていて、なぜチャクラコントロールが重要なのかが、よく分かりました。ここでいう「スタミナ」は、「生命エネルギー」とほぼ同義のようです。

 

2話で、ナルトとエビスは出会っています。
この時のエビスは、落ちこぼれで、しかも九尾が封印されているナルトを嫌っています。

 

90話で重要なのは、そのエビスでさえも、ナルトを認めていることです。

 

自分の教育方針に自信を持っているエビスも、木ノ葉丸には少々手を焼いていました。
2話で、木ノ葉丸は、ナルトから厳しいことを言われます。
木ノ葉丸は、三代目火影の孫として、周囲から特別な目で見られています。木ノ葉丸は「火影の孫」として見られるのを嫌がっていますが、心のどこかでは甘えがあったと思いますね。
木ノ葉丸にとって、ナルトから指摘されたことが、自分の考え方を変える分岐点になりました。

 

エビスも他の忍達のように、中忍選抜試験の試合を見ていたと思いますし、木ノ葉丸の変化と併せて、ナルトに対する見方を変えていったのでしょう。
本当は、ナルトを認めているからこそ、エビスはカカシの頼みを聞き入れたのだと思います。
そして、この修業で、木ノ葉丸に言ったナルトの言葉と、ナルトの行動が一致していることを見て、ナルトの評価を一層高めたと思います。

 

ナルトは誰にも媚びていません。ひたすら自分の夢に向かって、努力をしているだけです。その生き様が、周囲の人々を変えていく。
人は知らず知らずのうち、他者から影響を受け、他者に影響を与えています。

 

(90話は、コミック巻ノ10話に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ10) (ジャンプ・コミックス)

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