抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・2話「木ノ葉丸!!」

アカデミーを卒業し、下忍としてスタートしたナルトの人生は、写真撮影から始まります。

どこぞの写真館で見るようなカメラ。そういえば、七五三の時に、そんなカメラで撮ってもらったけ……。

ナルトは歌舞伎役者のようなメイクで撮ってもらっています。そのセンス、なんとかならんのか?

「忍者登録書」に貼る写真のようです。 入社した時に人事部へ提出する書類みたいだ……。

 

さすがに三代目火影から、写真へダメ出しがでます。

 

そこへ乱入してきた、おチビくん。

 

じじィ!!勝負だァ コレ!!!

 

どうやら三代目火影の孫のようです。

 

「だ… 大丈夫でございますか!? お孫様!!」

 

おチビを追って、エリート家庭教師のエビスが来ます。

 

2話はまだ物語の導入部分ですので、ほとんど動きはありません。

ナルトがどういう人物で、どういう立ち位置にいるかを描写している話です。

 

「…フン! 九尾のガキか… 私の大嫌いな落ちこぼれだ…」

 

エビスの本音は、里の大人達の本音です。

イルカに認められて下忍になったナルトですが、里の大人達は彼を認めていません。

 

その場にいたナルトにも食ってかかる、おチビの名は木ノ葉丸。

 

エビス:「コラ!! ナルト!! 手を離さないか その方は三代目火影様のお孫さんだ     ぞ!!」

 

木ノ葉丸:「なぐれるもんなら なぐってみろ!!」

 

木ノ葉丸は内心で、火影の孫と分かったとたんに、ナルトが手のひらを返すような態度を取るに違いないと思っています。

しかし、ナルトはそんな子じゃありませんよね。

 

「ンなの知るかってばよ ボケ!!!」 ゴチ

 

思いっきり木ノ葉丸を殴りつけます。

 

激怒するエビスとため息をつく三代目。二人の大人が、どういう目線でナルトを見ているのかが分かります。

 

実は、三代目が孫に襲撃されるのは、今日だけで20回目。なぜ木ノ葉丸がそんなことをするようになったのか、三代目にも理由がよく分かっていません。

 

三代目の部屋から去った後、木ノ葉丸はナルトの後について行きます。

その理由は……

 

「火影のじじィを倒した おいろけの術というのを教えてくれ!! 頼む」

 

1話で、ナルトはミズキに騙されているとも知らずに、封印の書(巻物)を火影室から持ち出そうとして、三代目に見つかってしまいます。

そこでナルトは得意の「おいろけの術」(変化の術で全裸の女性になる)で、逃走。

鼻血を出して卒倒する三代目火影。(え〜〜!?)

 

木ノ葉丸は本音を語ります。里の人達が自分を「火影の孫」として見ており、自分自身を認めてくれていない。「木ノ葉丸」という名前で呼んでくれることもない。

常に「火影ブランド」とセットになっているわけですね。これは結構辛い。

だから火影の爺ちゃんを倒して、すぐにでも火影の名前が欲しいというわけです。

 

木ノ葉丸の気持ちがわかるナルト。だからこそ、そう簡単にいかないと言います。

火影といえば、里の誰もが認める最高の忍者。その名前をもらうには、覚悟しなきゃいけない。

 

「ぜってェ−! 近道なんかねェーってことはよ!!」

 

自分だって、嫌なことだらけで、色々迷ったり、イルカ先生一人に認めてもらえるまででも、すごく大変だった。

大きな壁を一つ越えたから言える、少しだけ年長者からのアドバイスです。

 

一連の様子を、水晶玉越しに見守る三代目がいいですね。

 

2話には、他に重要な情報が開示されています。

三代目はナルトの出生について知っているらしいこと。四代目火影がナルトに九尾を封印したこと。三代目がそれを口外無用とする掟を作り、大人達に口止めしていること。里の子供達はそれを知らないこと。

これらの情報を押さえておいて、物語を読み進めていくと、ナルトの成長と周りの人々の変化や、先に待っているエピソードとの繋がりも、面白く読めるのではないかと思います。

 

長期連載になると、導入部分の話は忘れられがちですが、1話と2話は押さえておくべきでしょう。

 

私は1話が最も重要なエピソードだと思っています。

というのは、ナルトという人物の行動原理が、すべてこの時の体験に基づいているからです。

ナルトが仲間との繋がりを最優先にするのは、絶望的な孤独から救われた、強烈な体験があるからです。

イルカ先生に認められたことは、生まれて初めて彼に、心の底からの幸福感をもたらしたでしょう。いわば、地獄から天国へ救われたようなものです。

 

これからナルトは、任務をこなすための小隊メンバー(第七班)、班の違う木ノ葉の下忍達、上忍の先生達など、様々な人と関わっていきます。それを通してますます、人と繋がっていることのありがたさ、幸福感を体験していきます。

だからナルトにとって、繋がりが断ち切られるのは、もう一度あの地獄に戻るのと等しいのです。

ナルトがサスケを執拗に連れ戻そうとするのも、それが根底にあるからです。

もし、ナルトの両親が健在で、九尾も封印されておらず、普通に育っていたら、ここまで繋がりにこだわっていたかは非常に疑問ですね。

 

もう一つが「影分身の術」です。

アカデミーで教わる基本忍術、「分身の術」ができなかったために、ナルトは3度も卒業試験に落ちています。1話で、卒業を認めてもらうために、封印の書にある「影分身の術」を会得しようと、ナルトは一人で必死に修業に励みます。

基本忍術の分身の術は、実体のない分身。簡単にいえば、目眩ましのようなものですね。

それに対して、影分身の術は実体のある分身で、高等忍術の部類に入ります。

後にわかりますが、ここで影分身の術を会得したことが、ナルトに新たな道を開いていくのです。

  

NARUTO―ナルト― 1 (ジャンプ・コミックス)

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