抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・88話「サスケは…!?」

予選がすべて終了しました。

 

ハヤテ:「中忍試験”第三の試験”本選進出を決めた皆さん… ゴホッ… 1名はここにいませんが…おめでとうございます」

 

試合中に呪印が暴走しかかったサスケは、69話でカカシから封邪法印(ふうじゃほういん)を施されて、別室で安静中の身です。

 

サクラ:「…先生 …………私…聞きたいことが…」
カカシ:「…サスケのことか…」

 

ただ一人、サスケが大蛇丸に呪印を刻まれた時から、一部始終を見ているサクラです。
心配で仕方がないのでしょう。

 

カカシ:「さあな…悪いがオレにもまだよく分からん…… ま… あまり心配するな…」

 

呪印を封印術で抑えていますが、あとはサスケ次第です。正直な話、カカシも絶対に大丈夫だとは言えません。
「ちょっと席を外すので、本選の内容をしっかり聞いておいて欲しい」と言って、カカシは消えます。
不安そうなサクラ。

 

勝ち残った忍の内訳は、
木ノ葉5名、砂3名、音1名。
さすが大国・火の国が擁する、木ノ葉隠れの忍はレベルが高いです。さすが大国・火の国が擁する隠れ里です。

 

三代目火影から、本選について説明が始まります。

 

アカデミーでは木ノ葉丸達が、イルカ先生の授業を受けています。
イルカは中忍選抜試験を受験中のナルトが気になる様子です。

 

木ノ葉丸:「今のうちに外に行こうぜ イルカ先生 最近スキが多いからチャンスだコレ!」

 

しかしさすがはイルカ先生。気配を察知します。

 

イルカ:「コラ!! 木ノ葉丸!! また授業を抜け出す気だな!」
木ノ葉丸:「ト…トイレですコレ!!」

 

会場の外ではカブトが大蛇丸に、予選終了の報告をしています。
大蛇丸は木ノ葉隠れののどかな様子に、「平和ボケした里になった」と言います。

 

大蛇丸:「…どの国も軍拡競争で忙しいっていうのにねェ」
カブト:「今なら取れますか?」
大蛇丸:「まあね… あんなジジイの首取って 楽しいかは分からないけど…」
カブト:「……… そうでしょうか……? ボクにはまだ……アナタが躊躇しているように思われますが…」
大蛇丸:「………」
カブト:「これから各隠れ里の力は 長く激しくぶつかり合う… 音隠れもその一つ… …アナタはその引き金になるおつもりだ…」
大蛇丸:「………」
カブト:「そして彼はその為の…弾(たま)なんでしょう? …うちはサスケくん…でしたっけ…」
大蛇丸:「フフ… お前は察しが良すぎて気味悪いわ……」

 

「そうでもない」とカブトは答えます。ドス、ザク、キンの三人のことは知らなかったそうです。カブトが彼等三人の攻撃を食らったのはわざとで、情報収集のためだったようです。
カブトはまだ自分が、大蛇丸から信頼されていないと感じています。
大蛇丸は信頼しているからこそ、ドス達のことをわざわざ話す必要は無かったと言います。
信頼の証として、サスケをカブトにお願いすると言い出します。

 

大蛇丸:「彼に与えた呪印… カカシの奴に封印されちゃったみたいなの まぁだからって あんまり関係ないんだけどォ……… 彼の心の”闇”が消えないうちに……今すぐ攫って(さらって)欲しいのよ」

 

大蛇丸が焦っていることに、カブトは気がつきます。
大蛇丸は「少し気になることがある」と言います。

 

カブト:「うずまきナルト… ですか」

 

カブトの指摘は図星でした。
復讐のために生きてきたサスケが、目的を遂げるまで死を選ぶことはないはず。それなのに第二の試験では、死を恐れずに大蛇丸に立ち向かいました。
大蛇丸は「あんなに死に急ぐ子じゃないと思ったのに」と言います。

 

大蛇丸:「お前の情報によると あの九尾の子との接触が サスケくんの目的と心を変えていっているようね… それだけサスケくんへの影響力を持つ子だからねェ… 早く引き離すに越したことはないわ… 早く私色(わたしいろ)に染めないとねェ…」

 

大蛇丸はカブトに、自分を止めたいなら、今サスケを殺すしか無いと言います。

 

大蛇丸:「お前じゃ私を殺せないでしょ…… 強いといっても…カカシと同じ程度じゃねェ…」

 

大蛇丸は「冗談だ」と言います。

 

試合会場では、三代目火影が本選の説明をしています。
以前話したように、本選では観衆の中で行われる。
出場者は各国の代表戦力して、それぞれの力をいかんなく発揮してもらいたい。
そのために本選は、一ヶ月後に開始される。
予選で知り得た敵の情報を分析し、対策を立てる期間でもあり、体を休める期間でもあるということです。

 

(ナルト):このままじゃダメだ… 1か月…休んでる場合じゃないってばよ マジで マジで!

 

サスケが休んでいる医療室で、異変が起きていました。
護衛の暗部の忍達が倒されています。
サスケは酸素マスクを付けて、眠っているようです。

 

カブトがサスケに近づきます。

 

カブト:「優秀過ぎるってのも考えものだね… ボクらは目立ち過ぎた 大蛇丸様の目に留まったのは お互い不幸だったかな…」

 

じっとサスケを見つめるカブト。

 

(カブト):こんな幼くとも 心には悪魔が巣くっているとはね… そこを利用され…いずれはあの忍術でこの子も…

 

カブトはメスを取り出して、サスケに迫ります。

 

シュ!!

 

メスを後方へ投げるカブト。

 

パシィ

 

カブト:「さすがカカシさんだ… ボクの死角からの攻撃を止めるなんて…」
カカシ:「お前… ただの下忍じゃないでしょ… オレの気配に気付き すぐに武器を構えるなんてのは…大した奴だ」

 

カカシはカブトに、サスケに近づいた目的を尋ねます。

 

カカシ:「事と次第によっちゃあ… 捕まえて尋問する」
カブト:「出来ますかねェ… アナタごときに…」
カカシ:「そのごときと…試してみるか…?」

 


88話のポイントは、大蛇丸の台詞を通して、サスケがナルトの影響を受け始めていることを明示している点です。

 

これはNARUTOにおいて非常に重要なことで、物語上のナルトという人物の役割や、彼を中心として人間関係や情勢が変化していくことを暗示しています。

 

ナルトと関わったことで自分を見つめ直したり、生き方を変えた人々が、既に88話までに出てきています。
木ノ葉丸、ヒナタ、再不斬。同じ班のサクラとサスケは、現在進行中です。

 

表面的には違って見えますが、サクラも本質的にはヒナタと同様に、がんばるナルトの姿に影響を受けています。
アカデミーを卒業した時点では、スリーマンセルを組むこと自体を良く思っていなかったサスケも、次第にチームワークを踏まえて行動していますし、ナルトからリーに勝てなかった理由を指摘されて自分の至らなさに気がついたり、ナルトの言動に影響を受け始めています。

 

大蛇丸が言っているのは、サスケが復讐を人生の最大目的にしているならば、仲間と共に戦うよりも、自分が生き残ることを最優先させるはずだということです。
しかし第二の試験でサスケは、ナルトやサクラと一緒に、草忍に変化した大蛇丸と死ぬ気で戦いました。

 

大蛇丸はサスケに復讐心がある以上、強くなるために自分を頼ってくると踏んでいましたから、サスケの復讐心が弱まるのを恐れています。
洞察力の鋭い大蛇丸は、ナルトの存在がサスケの心を変えていっているのを見抜いているわけです。


つまり、それほどナルトの影響力は大きくて、これがナルトがNARUTOの主人公たる最大の理由です。

 

ただしナルト自身は、自分が他者に影響を与えているとは、微塵も思っていません。
彼はただ真っ直ぐに、自分の人生を生きているだけです。

 

651話(コミック巻ノ68)と655話(コミック巻ノ68)で、カカシは同じ事を言っています。
「最初はバカにしていても 人は人一倍がんばる奴を見ると…おのずと手を差しのべたくなる」
「あいつは自分の夢も…現実も諦めたりはしない ーーーーそういう奴だからさ そしてあいつのそういう歩き方が仲間を引き寄せる つまづきそうなら助けたくなる」

 

打算抜きでひたむきに生きる人を、人は応援したくなるものなのです。

 

ナルトもイルカ先生に認めてもらうまでは、里の大人達を憎んでいたし、中忍選抜試験の本戦でネジと対戦する前は、自信が無くて落ち込んでいたし、あちこちにぶつかっています。ぶつかりながらも、真っ直ぐ前を向いて歩いて行くのが、ナルトの生き方です。

 

その姿が人を感化し、自然と彼を助けようとする仲間が増えていく。

 

私がナルトから何を一番学ぶかというと、格好をつけずに、ひたすら前を向いて進もうとする人の意思の美しさです。

 

(88話は、コミック巻ノ10に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ10) (ジャンプ・コミックス)

NARUTO (巻ノ10) (ジャンプ・コミックス)