抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・84話「努力の天才…!!」

表蓮華で倒した我愛羅は、砂の鎧だけで、中身はもぬけの殻でした。

 

リーの背後から、我愛羅が砂で攻撃します。
避けきれないリー。

 

(カンクロウ):完全に目を覚ましやがった…!! 我愛羅の中の魔物が!

 

サクラがリーに、なぜ避けないのか叫びます。

 

ガイ:「…さっきの蓮華という技は…諸刃の剣なのだよ」
サクラ:「え!?」
ガイ:「本来 禁止技にあたる… あれだけの高等体術は 足や体に多大な負担をかける…」
カカシ:「今は体中が痛み 動き回るどころじゃない… そうだろ…ガイ」
サクラ:「そ…そんな…」

 

場面はアカデミーの校庭。
まだ入学して日が浅い、幼い生徒達がランニングをしています。

 

生徒1:「ハハ… バーカ! お前が忍者になれるわけねーだろー!」
生徒2:「だいたい忍術使えない奴が 忍者になれるわけねーじゃん …なぁ!?」
リー:「なれます!!
生徒3:「てゆーかよォー …人並み以下の体術以外 なにもできねぇお前が…このアカデミーに居ること自体ナンセンスなんだぜ…」

 

走りながらリーはそっぽを向きます。

 

生徒3:「フン… お前 ここで何て呼ばれてっか知ってっか…!?」

 

リーは次の言葉を聞きたくなくて、耳を塞いで列から離れて走ります。
自分が何と呼ばれているか、分かっているんですね。
その様子を校舎の窓から、ガイが眺めていました。

 

ガイ:「フフ… あの子が噂の新入生… ”熱血落ちこぼれ”君かぁ…」

 

(ガイ):しかし お前は…その人並み以下の体術を… バカみたいに練習したんだ …そして…

 

アカデミー卒業後の場面。

 

ガイ:「今日からお前たちも下忍になった! お前たちの目指すものを聞いてみたいぞ…うむ!」
ネジ:「答えたくない…」
ガイ:「フム…」

 

この頃のネジには、目指すもの自体があったのかどうか疑問ですね。ネジの言葉は冷たく聞こえますが、答えたくない理由も、今なら分かる気がします。

 

テンテン:「あたしは伝説のくの一 ツナデ様のような………強い忍者になりたいなぁ…」
リー:「せんせーー!! たとえ忍術や幻術は使えなくても−−−−立派な忍者になることを証明したいです! それがボクの全てです!!
(ガイ):「いい眼だ…」
ネジ:「フッ」
リー:「キミィ!! 何がおかしいっ!!」

 

試合会場では、リーが我愛羅の攻撃を必死でかわしています。

 

ドガッ

 

テンテン:「リー! ほんっと アンタってばこりないんだから… 勝てっこないでしょ …ネジはアンタと違って…天才なんだから…」
ネジ:「ムダだよリー… いかに努力したところで お前にオレは倒せない これは決まっていることだ」
リー:「くっ…」

 

一人で修業をするリー。
腕立て500回連続でできなければ、なわとびを2重跳びで1200回。
1200回連続でできなかったら、丸太蹴り2000回。
自分でルールを決めて必死で修業しています。
物陰から様子を見ているガイ。

 

2重跳び1117回を過ぎたところで、足に縄を引っかけてしまったリー。
倒れた勢いで、頭を丸太にぶつけてしまいます。
倒れたまま、涙が止まりません。

 

リー:「う… …う…う… くっ… うっ…」

 

「もう休憩か」と、ガイがリーに声をかけます。
起き上がりながら、リーが答えます。

 

リー:「…何の用ですか…ガイ先生… この前の任務での失敗なら もう詫びたハズです!」
ガイ:「……… …確かにお前はネジと違う… 忍術や幻術の天才でもなければ 体術の天才でもない… けどなァ リー… お前もネジを越える力を…その可能性を秘めてる天才なんだぞ……」
リー:「気休めなら やめて下さい!」
ガイ:「気休めでもなんでもない… なぜならお前は… 努力の天才だ

 

それを聞いたリーは、「本当にそうでしょうか」と、ガイに自分の本音をぶつけます。

 

リー:「…ボクは…そう信じてやってきました… ネジより…2倍も3倍も修業すれば…きっと強くなれる… そう信じてやって来ました……… だけど… 本当の天才には敵わないんじゃないかって …最近そう思うはじめました……… …努力が本当に報われるものなのか…それが知りたくてネジに挑戦しても ずっと同じ… まるで歯が立たないんです……! 任務の時も未だに…足が震えるんです… いくら努力してもボクは強くなれないんじゃないかって… 怖くて怖くてたまらないんです!!」

 

ボロボロと流れ落ちる涙を止められません。
「どうしたらいいかわからない」と言うリー。

 

黙って聞いていたガイが、口を開きます。

 

ガイ:「自分を信じない奴なんかに 努力する価値はない!!!

 

我愛羅に押されて防戦一方のリー。ガイの方へ視線を向けます。

 

下忍になりたてのリーを、ガイは励まします。

 

ガイ:「お前はオレに良く似てる… 昔はこのオレも落ちこぼれだったが…… 今じゃ天才エリート カカシとの勝負でも勝ち越しているほどだ!」
リー:「!」
ガイ:「”たとえ忍術や幻術は使えなくても…立派な忍者になれることを証明したいです!”ってな …それがお前の忍道だろ…!? いい目標じゃないか……ガンバル価値のあるいい目標だよ」
リー:「……!」
ガイ:「だから お前も自分の道を信じてつっ走ればいい! オレが笑って見てられるぐらいの強い男になれ!! いいな!! リー!!」
リー:「オッス!!

 

試合の最中にリーが見たのは、微笑むガイの姿でした。

 

次々に迫る砂の攻撃。


サクラは「これ以上は死んじゃう」とリーに叫びます。
ところがリーは、ことごとく攻撃をかわします。

 

(ナルト):動きが戻ったぁ!!

(リー):先生が笑って見てくれてる… それだけでボクは 強く甦ることが出来る…! さらに強く… もっと強く…!!

 

リーが構えます。

 

サクラ:「…リーさん笑ってる… あんなに追い込まれているのに…」

ガイ:「イヤ…今度はこちらが追い込む…… ………木ノ葉の蓮華は 二度咲く!!

 


必殺技の表蓮華も、わずかの隙に我愛羅が砂の鎧から抜け出して、決定打にはなりませんでした。
この体術は術者に相当な負担を強いるため、形勢が逆転してしまいます。

 

私がNARUTOを好きな理由の1つは、登場人物が抱えている背景を丁寧に描いているところです。

 

「人には歴史あり」で、過去の積み重ねがあって、今の自分が形成されています。
ただ普通は自分以外の人の歴史など、知るよしもありません。身近のところでは、両親のことさえ知らないはずです。

 

今の自分が接している人々、友人、学校の先生、職場の同僚や先輩や上司、両親や兄弟姉妹に至るまで、自分以外の他人が「なぜ今、そのような考え方や行動を取るのか」を理解している人はほとんどいないはずです。

 

NARUTOを読んで思うのは、相手の背景を知ると、理解できることがあるということです。

 

サクラもナルトも、初めはリーを見た目だけで判断していました。
特にサクラはリーを避けている節があったのですが、自分が試験ではライバルであるにも関わらず、リーによって音忍達から助けられて、その時に彼の行動を目の当たりにし、ものの考え方に触れています。

 

表面だけで人を判断していては、相互理解を深めることはできません。
大人になるということは、「人間理解を深めること」。
それが成熟することだし、年を重ねても未熟な大人は、これができていないです。

 

深い人間理解ができるようになるには、それ相応の苦労を経験しないと難しいのは事実です。
現代は親が子供に苦労させまいとして、何かと先回りしてしまうので、それが未熟な大人を増やしている原因の1つだと、私は考えています。

 

「可愛い子には旅をさせよ」は、人生の真理を言い当てた名言です。
これができる賢い大人が、子供を成長させ、次の賢い大人を育てていくと思います。

 

私がここでいう「賢い大人」とは、学校の勉強ができるとか、学歴が高いとかいう意味ではありません。物事の本質を見る力、何が大切で何がそうではないかを見分ける力、総合的な人間力といったものです。

 

NARUTOに登場する大人達は、それを実践しています。だから甘やかさないし、敢えて試練を与えるし、厳しいことも言う。
現代の大人達が見習わないといけない、大事なポイントだと思います。


(84話は、コミック巻ノ10に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ10) (ジャンプ・コミックス)

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