抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・683話「お前と同じ夢をみた」

サスケがカグヤに捉えられて、そのまま空間に引きずり込まれてしまいました。
慌ててサスケの後を追うナルト。
閉じていく空間をこじ開けようとしますが、歯が立ちません。

 

カグヤの袂から顔を覗かせている黒ゼツ。

 

黒ゼツ:「これで もう母さんを封印できない まずはお前のチャクラを全て吸い尽くす!」

 

サスケの時と同じように、カグヤが空間に片手を突っ込むと、ナルトの背後の空間からカグヤの腕が出てきました。
回避するナルト。

 

黒ゼツ:「いい反射神経だ」

 

とにかくサスケを見つけたいナルト。
カグヤが空間に身を隠します。
どこから来るのか、ナルトは感覚を研ぎ澄まします。
突然空間全体が共鳴し、四方八方から氷のつららが、槍のようにナルトに目がけて襲いかかります。

 

熔岩の世界から、一変して氷の世界に。
サクラは、自分たちだけがこの世界に連れてこられたのかと考えます。

 

影分身ナルト:「イヤ…本体のオレはこの世界にいるってばよ…ただサスケは感知できねェ」

 

「うっ!」
オビトが意識を取り戻しました。
682話で、影分身ナルトが手当をしたのが効いたようです。
「ここはどこだ?」とオビト。

 

オビト:「オレは…死んだ…はず…」
影分身ナルト:「オレが回復させた ………でも…
オビト:「………ああ…分かっている……

 

オビトはマダラはどうなったか尋ねます。
オビトの意識がない間に、状況は一変しています。
影分身ナルトが、自分が簡単に説明すると言います。
この機会に、カカシとサクラにも六道仙人やカグヤのこと、封印のことも説明したいそうです。
オビトは敵をまだ倒していないなら、話を聞きながら、自分をそこへ連れて行くように言います。
影分身ナルトは、本体がピリピリしているし、サスケは感知できないので、向こうへ行くのは危険かもしれないと応えます。

 

サクラ:「私たちが足手まといか 役に立てるかどうかは分からない けど役に立てる時に そこにいないで失敗したくないの」
カカシ:「どうせ そのカグヤってのを倒さない事には オレ達の世界も終わりだしな 残ってるオレ達だけであがいてみるしかないんだ もうとっくに覚悟はきまってただろ…死ぬ覚悟は

 

場面変わって、穢土転生の歴代火影達。
各自がそれぞれ情報収集をしていたようです。

 

ミナト:「遅くなりました…何かわかりましたか?」
柱間:「誰もおらぬ ただマダラの下半身があるだけぞ」

 

人の下半身だけがころがっているのは、正直気持ちの良いものではありませんね。
674話でサスケが草薙剣で、マダラの胴体を真っ二つに切り裂いた時の片割れです。
あの時マダラは上半身だけで、オビトの写輪眼を使って、オビトとサクラがいる時空間へ飛んでいきました。六道仙人化していたマダラは、自分で下半身を修復しています。

 

ミナトは半身がころがっていても、マダラが死んだと考えていいか迷っています。
扉間は無限月読が完成したと結論しています。ただし死者の自分たちには無効。
扉間がミナトに偵察の結果を尋ねます。

 

ミナト:「その術にかかった人々を解放しようと 皆を包む木を切って救出しても起きませんでした そしてすぐに次の木のツタが絡み取ってしまう」
三代目:「…やはり同じか」
扉間:「…マダラの生死を確認しつつ事を知るなら…その下半身を使いマダラを穢土転生してみればハッキリする…そして吐かせる」
柱間:「それには別の生贄がいるではないか 何か別の方法で…」
扉間:「ここにきて そんな甘い事を…!」

 

マダラの半身に柱間が触れていると、半身からチャクラが出てきます。

 

ハゴロモ:「やはりお前はやさしい奴よ アシュラの前任者よ」
柱間:「……アナタは…?」
ハゴロモ:「名をハゴロモ…忍宗の開祖にして 六道仙人とも言う

 

一方、1人だけ砂漠地帯へ引きずり込まれたサスケは、脱出を試みていますが上手くいかないようです。息が上がっています。

 

本体ナルトの所へ向かっている4人。
移動しながら、影分身ナルトから話を聞いています。

 

オビト:「…信じられんが…とにかく そのカグヤってのを封印するには ナルトとサスケの二人の力が必要って事だな」

 

しかしそのサスケが感知できないので、影分身ナルトは困っています。
カカシが氷が動いているのを見つけます。

 

ドゴーン

 

本体のいる場所を見つけました。
本体ナルトは氷の牙の群れに挟まれて、捉えられたようです。

 

本体ナルト:「…やっと出てきやがったな」

 

空間からカグヤが姿を現しました。
その様子をじっと見つめるオビト。「時空間の類いだ」と分析します。
本体ナルトは縛られたフリをして、カグヤが近づいてくるのを狙っています。

 

サスケが感知できなくなったのは、別空間に飛ばされた可能性が高いと、オビトは判断します。
サスケを救出するのには、カグヤが空間を繋いで開いた時に、神威で空間に入ること。
そこにサスケがいれば連れて帰れる。
ただし、オビト自身の時空間ではないので、膨大なチャクラが必要。
空間に入って、向こうでチャクラが切れたら終わり。
影分身ナルトも一緒に行くと言いますが、分身のチャクラでもまだ不足。
サクラが百毫のチャクラの提供を申し出ます。

 

オビト:「それで限度いっぱいだ 二人ともオレと来い」
サクラ:「ハイ…」
オビト:「サスケがその空間にいるかどうかも分からない だが まずは奴の懐に入り…必ずサスケはオレが見つけ お前の本体まで届ける」

 

分身ナルトが頭を下げます。

 

影分身ナルト:「…………オビト…オレのこと助けてくれてありがとう……そしてサスケまで…」
オビト:「………こんなオレに礼など言うな 敵を見てろ
影分身ナルト:「もう…面はねーんだな

 

相変わらずナルトは、本質を見抜く目が鋭いです。

 

オビト:「………オレは…カカシの友であり お前の父の部下であり…サスケと同じうちはであり そして……オレはお前と同じ夢を見た先輩…ーーーだった 時間のないオレが今さら詭弁を垂れるつもりはない ただ…せめてお前達より前を歩いて…死なせてくれ

 


656話(コミック巻ノ68)で、尾獣を抜かれたオビトが、自分が殺した人々を外道・輪廻天生の術で生き返らせようとした時に、カカシはオビトに「…本当にそれでいいのか…? 生きて…償うことだってできるんだぞ」と言っています。
それに対してオビトは「イヤ…そんな なま易しい………」と応えています。
(この後オビトは黒ゼツによって、強制的に輪廻天生の術をマダラのために使わされてしまいます)

 

オビトは自分がこれまでしてきたことの重大さを知っており、死を持って償う覚悟をしていると思います。
ナルトの回復術が一時的な延命なのか、本当に回復させたのかは明らかではありません。
ただ683話の描写をみる限り、一時的な延命と受け取れます。
オビトは残された時間で、心の奥底ではずっと望んでいた道に生き、死ぬつもりなのでしょう。

 

オビトとナルトはよく似ているところがあっても、すべてが同じなわけではありません。
オビトの方がナルトよりも泣き虫で気弱なところがあって、それは「繊細なうちは一族」と、「タフなうずまき一族」の違いだと解釈しています。
また「愛情深いうちは一族」の通り、困ったお年寄りを無視することができないのは、ナルトとは違った一面です。
さらに付け加えれば、オビトの方がナルトより知的です。


オビトとナルトが一番似ているのは、言葉ではなく行動で示すところだと思います。

 

神無毘橋の戦いでは、カカシの反対を振り切って、敵にさらわれたリンを助けに、単独で敵地に乗り込んだり、左目を失い視界が狭くなったカカシの窮地を、身を挺して助けたりしています。
九尾を抜かれたナルトに、ミナトの陰の九尾チャクラを渡して助けたり、サクラをマダラの攻撃から救ったり、自分の思いを行動で示しています。
ナルトと同じく、言葉よりも行動で示すタイプです。

 

目標に向かって真っ直ぐ努力するところも、似ていると思います。
オビトもナルトも、「火影になる」という目標を持って頑張ります。
オビトにはカカシというライバルが、ナルトにはサスケというライバルがいて、自分より先を行くライバルを追いかけて、修業に励むところもそっくりです。
オビトは道の途中で絶望して方向転換をしますが、新たな目標(月の眼計画)に向かって突き進むところは、本質的に変わっていません。


ナルトの出現で、彼は昔の自分が見ていた夢を思い出し、ナルトの中に実現の可能性を見いだしていきます。

 

オビトがマダラの計画に乗ったのは、どんなに努力してもこの世界は良くならないし、絶望するだけだと思ったからです。
それはオビトの価値観であり、マダラの計画を進めることは、自分の価値観を人に押しつける行為ですから、褒められたものではありません。
しかし世の中や人々への恨みや憎しみではなく、人々を絶望から救済する方法として、無限月読がベストな選択だと思ったのです。
実際は救済というよりも、現実逃避といえますが。

 

今のオビトは長門や小南のように、ナルトに託してみようという気持ちになっています。
自分が見た夢を、ナルト達が実現してくれるかもしれないと思い、それに賭けようとしています。
オビトは新しい目標に向かって、行動を始めているのです。

 

ハゴロモが歴代火影達の前に姿を現しました。
姿を見せたのは、彼等にも託したいことがあるのに違いありません。
ハゴロモは彼等に何を託すのでしょうか。これは一つのターニングポイントになりそうです。