抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・684話「殺しておくべきだ」

683話で「せめてお前達より前を歩いて…死なせてくれ」と言ったオビト。

 

「…やっぱりそうだ……この人… もう…助からないんだ だから死ぬ気で…」
サクラはオビトの覚悟を悟ったようです。
オビトはナルトとサクラに、自分の体に触れて、いつでも別空間へ飛べる準備をするように指示します。

 

カグヤがじっと見ています。
氷に挟まれた本体のナルトの方へ視線を向けます。

 

影分身ナルト:「オレ達のこと…バレてるな… やっぱ…」
オビト:「神威で奴の空間へ飛んだとしても 感知される事を考慮しておかないとな…」

 

カグヤはオビト達を無視して、本体ナルトの方へ向かいます。

 

本体ナルト:「そう こっちに来い! お前の狙いはオレのチャクラだろ!」

 

本体ナルトは作戦を考えます。
「バカでけェ術しても吸収されちゃ意味ねエ やっぱこいつにも一番効くのはーー陽動と体術だ!! 出オチのおいろけ系はもう陽動には使えねェ…オレの基本に立ち返ってやるんだ!! それで追い込む! こいつがまたあの変な扉から逃げようとした時に一緒に入る!! そこでサスケを探す! 今でもサスケのチャクラはハッキリ感じてんだ!!

 

影分身ナルトは「サスケを感知できねえ」と言っていましたが、本体は感知できているようですね。螺旋丸は影分身でも使えていましたが、感知力はオリジナルの方が上なのでしょうか。

 

カグヤはここは自分の空間で、ナルトには何もできないと言います。

 

本体ナルトにいる五尾が力を貸します。

 

五尾:「準備はできたなナルト! 一気にチャクラを沸点までもっていくぞ!!」

 

怪力無双だ!!

 

氷の塊を打ち砕くナルト。
襲いかかるカグヤを殴り飛ばした!
吹っ飛ばされるカグヤ。

 

次は九尾の出番です。

 

九尾:「チャクラは練っておいたやったぞ! ナルト!」
ナルト:「サンキュー九喇嘛!」

 

多重ーー 影分身の術!!!

 

ものすごい数の影分身です。辺り一帯がナルトだらけ。

 

ナルト:「今ここはァ! オレの空間だってばよ!!」

 

カグヤにパンチと蹴りの体術で応戦します。

 

う!!」「ず!!」「ま!!」「き!!」「ナルト一帯連弾!!!

 

無数のナルトがカグヤに襲いかかる!
カグヤはたまらずに、別空間へ逃げようとします。
ナルトが追いかけます。
オビトも神威を発動。

 

カグヤが逃げ込んだのは、砂漠地帯とは別の乾いた土地の空間です。

 

ナルトの姿を見つけるカグヤ。

 

黒ゼツ:「入り込めたのか!? 馬鹿な!」

 

今ここにいるのは、カグヤ、黒ゼツ、ナルトだけのようです。

 

黒ゼツ:「何匹か入り込んでしまった様だな… 他の2匹は力尽きて消えたか… 分身ではチャクラがもたなかった様だな…お前がオリジナルか…」

ナルト:「なら どうだってんだ!?」

 

ここは他の5つの空間へ直接繋がる「始球空間(しきゅうくうかん)」
黒ゼツはカグヤに、ナルトがここにいるのはマズイと言います。
「陰陽の力の共鳴で、サスケの所へ行かれかねない」と警戒します。

 

黒ゼツ:「さっきの変な術にしろ このナルトという忍…昔から何をするか分からない こいつはここできっちり…殺しておくべきだ!!
カグヤ:「それはダメよ あの子達のチャクラは吸収しなくては……」

 

黒ゼツは、カグヤが空間を変換する時に多くのチャクラの使うので、これ以上ナルトとの戦いを長引かせずに、もしもの時のためにチャクラの温存を勧めます。
封印されてしまえば元も子もない。多くのチャクラを失う事になるが、ナルトの分は諦める。

 

黒ゼツ:「この永年の計画が 水の泡になるよりはマシだ

 

複雑な表情のカグヤ。何を迷っているのでしょうか。

 

カグヤ:「そうね…」

 

カグヤの背中から数本の骨が出てきました。君麻呂の術に似ています。
これがカグヤ一族だった、君麻呂の血継限界の源流だったのかな?

 

カグヤ:「これで殺せる… ”共殺(ともごろし)の灰骨(はいこつ)”」

 

掌から出てきた骨を、開いた空間から飛ばします。
ナルトの背後の空間から骨が飛んで来ました。避けるナルト。
しかし前方からもう1本の骨が飛んで来て、腹に刺さります。

 

カグヤ:「死ね

 

刺さった骨がボロボロと崩れていき、ナルトの体も同じように崩れていきます!
これが共殺しか。

 

黒ゼツ:「これで氷世界の分身は全て消えたハズだ」

 

氷世界へ戻っていくカグヤ。
カグヤが消えた後に、時空間からオビトとサクラが出てきました。

 

オビト:「ナルトのおかげでうまくオレの時空間へ隠れられたが 分身でももうナルトはいない…お前だけが頼りだ サクラ」
サクラ:「分かってます!

 

一方、氷世界へ戻ったカグヤと黒ゼツは……。

 

黒ゼツ:「オリジナルは殺した…! なぜ…消えていない!?」

 

無数の影分身達がいます。

 

カカシ:「こっちがうまく入れた様だね…オビト

 


ナルト達の作戦成功。
黒ゼツが本体と思い込んだのは影分身でした。
影分身ナルトのおかげで、オビトとサクラは感知されないように隠れて、敵の懐に飛び込むことができました。本体はどこに行ったんだろう?
黒ゼツが「他にも2匹」と感知していたのは、オビトとサクラのことだったんですね。

 

影分身を軸に他の要素を足して戦術を工夫するのは、過去に何度もナルトがやってきたことです。

 

14話15話で再不斬の水牢の術からカカシ先生を助けた時も、中忍選抜試験でキバやネジと対戦した時も、風遁・螺旋手裏剣で角都を倒した時も、影分身と変化の術を上手く使って闘ってきました。

 

他にも様々な場面で、ナルトは影分身の使い方を工夫することによって、窮地を脱しています。

 

ナルトが「基本に立ち返る」と言っていたのは、影分身の術と変化の術で切り抜けてきた、ナルトの戦術の原点に戻るということだと思います。

 

1話でイルカ先生をミズキから助けた時に、ナルトは初めて多重影分身を使って、相手をボコボコにしています。今振り返ると、まさに「うずまきナルト一帯連弾」でした。
影分身を軸にしたナルトの闘いは、この時から始まっています。

 

子供の頃に使っていた「うずまきナルト連弾」と「うずまきナルト一帯連弾」は、ネーミングは違いますが、やっていることは同じです。

 

77話で初めて「うずまきナルト連弾」を披露しますが、実は、サスケの「獅子連弾」(68話)のパクリです。
サスケの「獅子連弾」は、リーの技の一部をパクっています。
リーの場合は、相手を空中高く蹴り上げて、その後「影舞葉」で追跡、そして「表・蓮華」で決める。
サスケは蹴り上げて「影舞葉」で追跡、蹴りの連続攻撃で相手を叩き落とす。
ナルトの場合は影分身達が蹴り上げて、本体が相手を叩き落とす。場合によっては、影分身達が総動員して相手を叩きのめす。
こうやって比較すると、基本は同じ技でも、各自のオリジナリティが加味されていて、おもしろいです。

 

新しいアイデアが、無から生まれることはまずありません。
本当に無から生まれるのは、せいぜい100年に1度とか、その程度でしょう。
「アイデアが出ない」というのは、「創造力がない」のではなくて、「既にあるものを組み合わせる能力がない」ということです。

 

それから、「基本に立ち返る」とは、チャクラ頼みの怪しげな忍術ではなく、本来人間が誰でも持っている能力で闘うということにも、引っかけて掛けている気がしています。

 

輪廻眼を開眼したマダラや、六道仙人化したオビトは、全ての忍術を吸収して、無効化していました。彼らに効果があったのは体術のみ。
当然カグヤも術を吸収するので、体術に頼るしかありません。

 

人がチャクラを持たない時代に、カグヤが争いを止めようとして、神樹の実を食べてチャクラを手に入れたという話が本当ならば、元々人は、チャクラを持っていなかったことになります。
長い年月を経て、生まれながらにチャクラを備える人が誕生してきたわけで、もしかすると物語は、チャクラのない本来の人に戻るという方向に行くのかもしれませんね。
それとも、手に入れてしまったチャクラの有効活用を模索する方向に行くか、どちらかでしょう。
ちょうど核エネルギーを手に入れた人類が、核を兵器として使うか、平和のために使うか、考えていかなくてはならないのと同じです。

 

サスケの救出に向けて動き出したナルト達。
ナルトのサスケへの思い、サクラのサスケへの思い、カカシの元七班だった子供達やオビトへの思い、オビトのカカシやリンやナルト達、そしてこれまで殺めてきた忍達への思い。それぞれが抱えている思いが、交錯しています。
特にオビトは、残された自分の命と引き替えにしても、サスケを助ける覚悟をしています。少しでも罪滅ぼしをしたいのでしょうね。

 

カグヤと黒ゼツの会話は謎だらけです。カグヤが黒ゼツの提案に一瞬迷ったのは、何故だったのでしょうか。
「あの子達のチャクラ」とは、ナルトとサスケのことか、それともアシュラとインドラのことか、どちらにも取れそうです。

 

肉体が滅んでもハゴロモのチャクラがずっと存在して活動していたように、アシュラとインドラもいつか姿を表し、何かを語ってくれるといいなと思います。
それにしても、ハムラはどうしたのでしょうか。この人はハゴロモと一緒にカグヤを封印した人ですから、カグヤ親子の物語には欠かせない人物のはずです。
カグヤとハゴロモ&ハムラの親子の関係が、今の戦いを生んだ直接的な引き金になっている可能性があるので、いずれハムラの登場もあり得ると思います。

 

「始球空間」とは面白いネーミングです。
「始球」は、「球(=地球=世界)の始まり」と、「子宮(=生命を育て産み出すところ)」の二重の意味が込められている気がします。