抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・3話「うちはサスケ!!」

下忍合格者の説明会。初めて額当てを付けて、ナルトも席に着いています。

あれ?ここはアカデミーの教室?学校が集会所の役割も果たしているのかな。

部屋には下忍になったばかりの子供達がいて、まるでアカデミーの教室の風景のようです。まだ忍者になりたてのヒヨコちゃん達だからねえ。

 

3話は、これからナルトと一緒にチームを組むメンバーのお披露目です。

 

「アレ? ナルトォ! なんで お前がここにいんだよ! 今日は合格者だけの説明会だぜ」

 

ナルトがアカデミーを卒業できたことが信じられない同期生がいます。

 

「ちょっと そこの席 通してくれる!」

 

強気な物言いの女の子が来ます。この子は春野サクラ。ナルトが気になっている女の子です。

ナルトは自分の隣に座りたいからか、と一瞬期待しますが……

 

「ナルト どけ! 私はアンタのむこう側に座りたいのよ!」

 

ナルトの向こうにいるのは、くノ一クラスで人気ナンバー1だった男子、うちはサスケ

ナルト曰く、「いつもスカしてるオレの一番嫌いな奴!!」

 

サクラは強引にサスケの隣の席をゲットします。内なるサクラは、

 

「ファーストキッスは私が奪うのよ!!」

 

ええ〜〜! 見た目のかわいさとは裏腹に、なんか凄いぞ、この子。

 

面白くないナルトは、サスケの机の上に乗り、顔を近づけてサスケを睨みつけます。

二人の目が火花を散らします。そんな奴やっちゃえと、サスケに女子達の声援が飛びます。

そのとき、ナルトの後ろにいた男の子の腕がナルトに当たって、前に倒れたナルト……

うわぁ〜、男の子同士のファーストキッス!!!

 

口が腐ると気持ち悪がるナルトとサスケ。

大ショックのサクラにボコられるナルト。説明会が始まる前からボロボロです。

 

イルカ先生から、これからスリーマンセル(3人1組)の班を組み、それぞれに上忍の先生が付いて、任務をこなしていくことが説明されます。要は、OJT(On the job training)というわけです。ちなみにイルカ先生は中忍です。

 

成績トップのサスケは、スリーマンセルは足手まといが増えると不満。

サクラは、絶対サスケと一緒になると意気込む。

ナルトは、サクラとは一緒で他はサスケ以外なら誰でもいいと、三者三様の心の内が可笑しい。

 

当然ながら、班分けはあらかじめ決められていました。

第七班は、春野サクラうずまきナルトうちはサスケ

全身で喜びを表すサクラと、がっくりうなだれるナルト。ナルトはイルカ先生に抗議しますが、班の力を均一にするために、卒業生1番の成績のサスケと、ドベのナルトが組むことになったと説明されてしまいます。

スカしたサスケとサスケに目がハートのサクラに、ナルトは面白くありません。

 

上忍の先生の紹介が午後ということで、それまではお昼休み。ナルトは食事中のサスケの不意を突いて襲い、彼に変化(へんげ)して、サクラにナルトをどう思うか尋ねます。

サスケだと思い込んでいるサクラは、ナルトのことををうざいだけだと言います。

そして、自分はサスケ君一人だけに認めてもらいたいだけだと言います。

積極的にサスケ(本当はナルト)に迫るサクラ。

いいところでナルトが下痢をもよおして、トイレへ駆け込んでしまうのですが、その間に縄抜けの術で脱出した本物のサスケが、サクラの所へ来てしまいます。

ナルトを探すサスケ。先ほどまでのいいムードに戻りたいサクラは、ナルトなんて放って置けばいい、サスケ君にからむのは、まともな育ち方をしてないからだと言います。

ナルトは両親がいない、いつも一人だからワガママし放題だけど、自分は親に怒られる、ガミガミ親に言われないから、いろんなところでワガママが出るんだと、サスケに説明するのですが……。

サクラは同じ里にいながら、サスケのことを何も知らないようです。

3話では読者に対して、サスケについての情報開示がまだありません。実はサスケも身内がいないんですよね。

急に顔つきが変わるサスケに、サクラはオロオロするばかりです。

 

「お前 うざいよ」

 

トイレから出てきたナルトはサスケを見つけます。

うざいと言われたサクラは、さっきのナルトもこんな気持ちだったのかなと、一人反省。

 

その頃、留守中のナルトの家に、三代目と一人の忍が来ています。三代目はこの人物に、ナルト達を受け持つように命じています。どうもやっかいなのは、ナルトだけではなさそうです。

 

3話は、三人のキャラクターの違いや、それぞれが互いをどう思っているのかが、わかる展開になっています。

同期の間でも、ナルトは完全に馬鹿にされています。実際に成績は最下位でしたし、素行も粗野といっていいでしょう。ただしナルトの良さは、他人の心の動きに敏感に反応できることです。ナルトが変化したサスケを本物と思い込んで、サクラが本心を打ち明けますが、うざいと言われたショックよりも、サスケに認められたいと願うサクラの一途な心をしっかりと受け止めて、理解しています。

子供が背負うには辛すぎる孤独な環境に置かれたことが、人の心の苦しみを理解できる人間にナルトを育てています。ナルトは一見バカでおちゃらけて見えるし、九尾の件は子供達に秘密にされているので、里の子達はナルトの闇の部分を知りません。同期達もまだ子供ですので、今は見た目だけでナルトのことを判断しているでしょう。

サスケについては情報が乏しいですが、影のある子だとわかります。ナルトからすると、それが「スカして」見えるのでしょう。三代目の言葉から、訳ありな子であることも想像できます。

ナルトとサスケは両親不在で、かなり特殊な環境に置かれています。それに対してサクラは、あまり苦労をしたことがない、ごく普通の一般家庭の子のようです。

この時点で、まだサクラは相手に配慮した言動を取ることが、上手くできていません。2話で、木ノ葉丸にアドバイスしたナルトとは対照的です。苦労知らずのサクラは、今回のように自分が痛い思いをして、初めて人の心を知ります。二人と行動を共にすることで、彼女はこれから多くのことを学んでいくでしょう。

三人の子供達がどのように成長していくのかも、この長い物語の見所の一つなのです。

 

(3話は、コミック巻ノ1に収録されています)

NARUTO―ナルト― 1 (ジャンプ・コミックス)

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