抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・1話「うずまきナルト!!」

プリキュア好きの私が、NARUTOを知ったのは昨年の2013年。ただいま連載が、671話まで進んでいるところです。

コミックを取り寄せて、ますますその魅力に嵌まり、アニメ版もDVDで初めから全部視聴しました。

プリキュアが「女児向け」ならば、こちらは「少年向け」。ただし、どちらも「子供向け」というのは表の顔で、実は扱っているテーマと物語が放つメッセージは「大人向け」なのです。

なまじ「大人向け」に作られていないため、変に斜に構えたりせずに、真っ向勝負で、言いたいことをドカンとぶつけてくるところがたまりません。

 

自分の思考の備忘録のつもりで始めたブログなので、かなり遅ればせながら、1話からの感想を記録しておこうと思います。

書いている内に、連載が先に終わるかもね。

 

ナルトの初登場は、いたずらから始まります。

白昼堂々と、歴代火影の顔岩にペンキで落書きをするという、ど派手なやり口です。

明らかにこの子は、「犯人はオレだ!」をわかるようにやっている。

 

バーーーーーーカ!! うっせんだってばよ!!」

「お前らさ! お前らさ! こんな卑劣なことできねーだろ!! だがオレはできる!!オレはスゴい!!」

 

って、ホントわかりやすい子なんだよね〜。承認欲求からくる自己顕示の塊。

 

当時のナルトは、今の小学5〜6年生くらいでしょうか。

子供が大っぴらにいたずらをするのは、典型的な欲求不満の解消方法で、ナルトの場合は、里の人々から避けられているという孤独感です。

常に、「あの子」とか「例の子」とか言われていて、名前で呼んでくれる里の大人は、ほとんどいません。

特に彼の場合は、避けられている理由が思い当たらないので、余計にどうすることもできません。まあ、子供ですから、原因がわかっても対処するのはまず不可能。大人だって、原因がわかっても、こじれた人間関係の修復は難しいものです。

 

大人になって、自ら人とのしがらみを経ち、一人の世界に没頭する人はいます。しかし、子供時代の孤独は重さが全く違います。

私は小学生時代に転校を経験し、今でも鮮明に覚えていますが、新しい環境になじむまでの孤独感は相当なものです。それでも家族がいたから、家にいる間は孤独を忘れることができました。ナルトの場合は身内が誰もいないのですから、家でも一人、外でも一人。幼い子供にとっては、地獄にいるのと等しいくらいの恐怖と絶望感です。

 

ミズキの罠に嵌まって殺されそうになった時、ナルトは皆から忌み嫌われている本当の理由を知ってしまいます。化け物(=九尾)が自分の中にいるという事実だけでも大ショックなのに、そんな理由ではどうすることもできないわけで、ナルトの絶望感は極地に達します。

ここは、ナルトの心境が伝わってきて胸が苦しくなりました。

 

そんなナルトを、体を張って守ったのがイルカ先生!! 

彼の両親は九尾に殺されているので、ナルトに対しては複雑な心境でした。が同時に、孤児になったナルトの境遇を理解することもできました。

ナルトは生まれて初めて、「うずまきナルト」という人間を、その存在を認めてくれる人を得たのです。そしてこの体験が、彼の行動原理の根幹をなしています。1話は非常に重要なエピソードだと思います。

イルカ先生から、晴れて卒業を認められたナルト。これから忍者としての人生が始まります。

 

ちなみに、ナルトは卒業試験に3度落第しているので、忍者学校(アカデミー)は、飛び級OKの実力主義みたいですね。案外こういうシステムの方が、伸びる子は伸びていいのかもしれない。イタチは6歳で入学して、7歳で主席で卒業でしたっけ? 凄すぎでしょ。

 

事実上、「うずまきナルト物語」のスタートはここからです。

もし、イルカ先生という理解者が現れなかったら、ナルトの人生は全く違ったものになったはずです。そもそも忍者になれなかったかもしれないし、砂の国の我愛羅のように憎しみに囚われてしまったかもしれません。

 

学校の教師というのは、子供に有形無形の影響を与える存在です。高校生くらいになると、教師の力量や人物を見切る力もあるし、それにたいして対処する方法も自分なりに工夫します。しかし中学生以下の子供は、ダメ教師でもバカ親でも鵜呑みにする子がいるし、おかしいと思っても対処法がわからず苦しむ子や流される子もいます。

だから教師には、己の全人格を磨き続ける覚悟を持ってやって欲しいと、個人的には思います。

そして親も、中学を卒業するくらいまでは、子供のしつけや教育を学校任せにしないことです。子供が社会に出てから、自立していけるための基礎力をつけさせてやれる、そんな親になりたいです。

 

NARUTOの物語には、歴代火影や担当上忍の先生など、モデルとなる大人もたくさん登場しているので、そういう目線で読むのも面白いです。

 

 

NARUTO (巻ノ1) (ジャンプ・コミックス)

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