抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・53話「サクラの決意!!」

座り込んでしまったリー。
嘔吐してしまいます。
左耳から出血もしています。

 

ドスの攻撃はかわしても無駄。仕掛けがあるようです。

 

ドス:「音だよ 拳をかわしても音が君を攻撃したのさ…」

 

そもそも音は振動から生れます。人体は鼓膜が振動をキャッチして、音が聞こえる仕組みです。
鼓膜を破るほどの振動を発して、さらにその奥にある三半規管を攻撃したのです。
三半規管がやられるとバランス感覚が狂うので、吐き気がしたり、目眩がしたりして、普通に立っていることが難しくなります。

 

ザク:「オレ達に古くせー体術なんて 通用しねーんだよ」

 

厳しい表情になるリー。

 

ザクの術は、超音波と空気圧を自由に操る術。
土の中に空気を送り込んでクッション状態にし、ドスをリーの技から守ったというわけでした。

 

ガイ先生からこの技を使うのは大切な人を守る時だと言われたこと、そして技を体得したことを褒められたことが、リーの頭をよぎります。
「ちくしょう…」

 

ドスが次に狙ったのはサクラ。

 

リー:「くそっ……!!」
サクラ:「来る!」

 

動けないはずのリーが、ドスに立ち向かいます。
信じられないドス。
木ノ葉旋風で攻撃しますが、当りません。
やはりさきほどのダメージが効いているようです。
ドスは腕をリーに当てて、音で攻撃します。腕から出る衝撃波は、ドスのチャクラで方向をコントロールされています。
三半規管を攻撃するドス。リーは激痛で動けません。
リーに止めを刺そうとするドス。
サクラはクナイで反撃しますが、衝撃波ではじき飛ばされてしまいます。
サクラでは全く相手になりません。

 

戦いを茂みから見ている、シカマル、チョウジ、いの。
チョウジは逃げようと言います。
シカマルはすばやく状況分析します。
サスケとナルトは気絶していて、リーもボコられた。残るはサクラ1人。
シカマルはいのに、お前はどうするのかと尋ねます。

 

シカマル:「つーか サクラやべーぜ! いいのかよ!? お前ら 昔 親友だったんだろ…!?」

 

シカマルの言葉で、いのの幼い頃の記憶が甦ります。

 

サクラ:「ねえ ねえ…」
いの:「なによーサクラ かしこまっちゃって−−−−−−?」
サクラ:「いのちゃんもさ…」
いの:「なによ−−−!」
サクラ:「サスケ君のこと 好きなんだってね……」
いの:「え?(ドキン)」
サクラ:「じゃあ… これからは私たち… ライバルだね…」

 

シカマルは再度いのに、どうするのか尋ねます。シカマルが言いたいことは明らか。
いのは自分が出て行ったって、確実にやられるだけだと躊躇しています。

 

サクラは1人で奮闘しています。
「私だって…! 私だって…!
手裏剣で戦いますが、今度はザクの空気圧で跳ね返されます。

 

3人目の音忍キンがサクラの長い髪を、後ろからわしづかみにします。

 

キン:「私よりいい艶してんじゃない… コレ フン… 忍のくせに色気付きやがって…」

 

キンはザクに、サクラの目の前でサスケを殺しなよと言います。
サクラは「そんなことをやらせるわけにはいかない」と思いますが、体に力が入りません。涙がこぼれ落ちます。

 

「…私…… …また… 足手まといにしかなってないじゃない…!!
いつだって守られてるだけ…… 悔しい……
今度こそは…って思ってた 今度こそは… 大切な人たちを私が守らなきゃって…

 

サスケに近づくザク。サスケの呪印から煙りが立ち上っています。
影から見ているシカマル達は、サスケとナルトもヤバイと動揺しています。

 

クナイを構えるサクラ。
キンはそんなものは自分には効かないと言います。

 

サクラ:「何を言ってるの?」

 

キンを横目で見上げるサクラ。
キンが掴んでいる髪を、クナイで断ち切ります。
予想外のサクラの行動に、驚く音忍3人、リー、シカマル達。


音の振動で攻撃をするドスの術。
体術のスペシャリストのリーは、三半規管をやられて体を思うように動かせなくなりました。
しかし根性では、リーもナルトに負けていません。
サクラを守るためドスに立ち向かいます。しかし体のキレが無くなっており、相手になりません。

 

サクラは頭脳明晰ですが、体術、忍術共に突出するものがなく、戦闘においては劣勢を強いられます。
明らかにサクラでは、太刀打ちできる相手ではありません。

 

茂みに隠れているシカマル達も、どうしたらいいか迷っています。
しかしシカマルは、このまま見殺しにできないようです。
サクラが昔の親友だったことを思い出させて、いのの決断を促しています。

 

サクラは”波の国任務”で見せたように、土壇場に強い一面を持っていますが、基本忍術でしか戦えません。

 

第七班を組んだときから、サクラが頑張ってきた最大の理由は、サスケの側に居たいからでした。
最初の自己紹介でも、カカシから「忍術より恋愛だな」と思われるほどです。
いのの回想から、幼い頃よりサスケを意識していたようですので、ナルトやサスケのように、寸暇を惜しんで修業に励むという生活ではなかったと思います。
ペーパーテストの成績は良かったし、基本忍術は合格基準をクリアしてきたでしょう。
ところが知力とチャクラコントロールが優れていても、基本忍術レベルでは実戦になると歯が立ちません。
むしろ忍術はダメでも、体術に特化して努力してきたリーの方が、圧倒的に実戦で役に立っています。

 

これは現実の社会でも同じです。
平均点が高い優等生よりも、何かに突出して秀でた人材の方が、社会に出てから活躍できることが多くあります。

 

36話で、カカシに呼び出された時「ブローが出来なかった」とぼやいていたところから、サスケの視線を意識して、常におしゃれには気を使っていたようです。
それはキンにも見破られています。
サクラは当初から忍世界で生きていくことの厳しさがわかっておらず、覚悟の甘さが目立っていました。

 

そんなサクラが、ついに誰にも頼れない状況に陥ってしまいました。
今まで自分を追い込んで、努力してこなかったツケが回って来たとも言えます。

 

しかし崖っぷちに追い込まれた今、サクラは手入れを怠らなかった、大切な髪を切り落とします。
キンの手から脱出するためですが、彼女が自立した本当の忍へ脱皮するために、一歩を踏み出したその象徴でもあります。

 

(53話は、コミック巻ノ6に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ6) (ジャンプ・コミックス)

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