抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・54話「サクラといの」

大切に手入れをして伸ばしてきた髪を、ざっくり断ち切ったサクラ。
キンの手から逃れることに成功します。

 

サクラは未熟だった自分を反省します。

 

「私は いつも…一人前の忍者のつもりでいて…
 サスケ君のこと いつも 好きだって言っといて…
 ナルトに いつもえらそーに説教しといて…

 私は ただ−−−− いつも 2人の後ろ姿を見てただけ…

 それなのに… 2人はいつも私をかばって戦ってくれた…

 リーさん…アナタは私のこと好きだって言って……
 私を背に命懸けで戦ってくれた
 アナタに教えてもらった気がするの……

 私もアナタたちみたいになりたい……

 みんな…

 今度は 私の後ろ姿を−−−−… しっかり見ててください!!

 

サクラの背中から気迫を感じ取るいの。

 

キンが背後からサクラに襲いかかります。
印を結ぶサクラ。
サクラの印を読むザク。
サクラの術は変わり身の術でした。

 

サクラはザクに向かっていきます。
ザクはそんな基礎中の基礎忍術でナメてんのかと、斬空波でサクラのクナイをはじき返します。
サクラはまたも変わり身の術でかわします。

 

今度は上からサクラは攻撃します。
またも結ぶ印は変わり身の術。

 

ザク:「2度も3度も…通用しねーって言ってんだろうが!!」

 

サクラにはコレで十分と、斬空波ではなくクナイで攻撃します。
クナイが命中。
ザクは本体のサクラを探します。
ところが、印を結んだのはフェイクで、クナイが命中したのはサクラ自身でした。
本体を探している間に、ザクに隙ができていました。
ザクが気がついたときには、目の前にクナイを握った血まみれのサクラが。

 

サクラは上からザクに飛び乗って、クナイを突き刺します。
さらにザクの腕に噛みついた!!

 

サクラの攻撃に驚く音忍達とシカマル達。

 

ザクは「離せ」と、噛みついているサクラの頭を殴りつけます。

 

死に者狂いで戦うサクラを見て、いのは泣き虫だった頃のサクラを思い出します。

 

おでこが広いため「デコリーン」と言われて、イジメられていたサクラ。
いのが最初にサクラと出会ったのは、イジメられてサクラが1人で泣いている時でした。
そのころのサクラは広いおでこを隠すため、目にかかるほど前髪を長く伸ばしていました。
自己紹介をするいの。
いのは泣きじゃくっているサクラの前髪を上げて、何かに気がつきます。
サクラにいいものをあげるから、明日もここへ来るように言います。
翌日サクラが行くと、いのはサクラの髪にリボンを結んで髪型をアレンジします。
ちょうど今サクラが、額当てをヘアバンドにしているのと同じ形です。

 

いの:「ホラ… こっちの方がかわいいよ−−−サクラは… そのリボンあげる…」

 

サクラはお礼を言いますが、気にしているおでこが丸見えなので躊躇しています。
いのは「隠しているから余計にバカにされる」と言います。

 

いの:「サクラは 顔かわいいんだから 堂々としてればいいのー!! 堂々とー!」

 

いのの友達から「だれその子?」と尋ねられても、いのの後ろに隠れてしまうサクラ。
「よろしく…」という声も弱々しい。ヒナタに似ていますね。

 

いののおかげで、だんだん明るくなってきたサクラ。
サクラはみんなに「聞いて、好きな人ができたの」と言います。
友人達から「サスケ君とかいわないでよ」と言われてしまいいますが、図星でした。
友人の話では、サスケはモテまくり人気No.1。
サスケ好きの女子は多い。

 

サクラ:「いのちゃん…! サスケ君って 長い髪の女の子が好きらしーのね… それで…」

 

嬉しそうに話すサクラの顔を思い出すいの。

 

それからいのも髪を伸ばし始めたようです。

 

サクラ:「髪! ずいぶん伸びたわね…いの」
いの:「何よ−−−サクラ!」
サクラ:「フン! いいこと教えてあげる 私 サスケ君と同じチームになったわよ」
いの:「え!?」
サクラ:「…いのには もう負けない」
いの:「私だって… サクラ−−−アンタにだけはどんなことだって負けないわよ−−−!」

 

ザクに殴られ続けても、サクラは噛みついた腕を放そうとしません。
顔が血だらけです。

 

いのの目に涙があふれます。

 

倒れているリー、ナルト、サスケ。
サスケの呪印からは煙が立ち上り、呻き声を出しています。苦しそうです。

 

ついに力尽きて殴り倒されるサクラ。
それでも気力は失っていません。
「みんな… みんなを守んなきゃ…」

 

怒ったザクが攻撃してきます。

 

その時、いの達3人がサクラを背に、ザクの前に立ちはだかります。

 

ザク:「フン… また変なのが出てきたな」

 

サクラ:「いの…」
いの:「サクラ… アンタには負けないって 約束したでしょ!」

 


サクラは元々泣き虫で、いじめられっ子だったんですね。
勝ち気でしっかり者のいのが、サクラを劣等感から解放してくれました。
その時からの友人である2人。

 

サスケがきっかけで、ライバル関係になっていった経緯もわかりました。

 

今まではどちらかというと、サクラがいのに、かばってもらっていました。
ライバルとなって、いの>サクラだった関係が、いの=サクラの関係になっています。
ライバルになるということは、対等な関係になるということ。

 

サスケの好みが髪の長い女の子だと聞いて、2人とも髪を伸ばしています。
この辺りは微笑ましいというか、健気というか、サスケに気に入られようと頑張っている、2人の気持ちが良く表れています。

 

泣き虫だったサクラとの出会いから、これまでの変遷を思い出して、いのは自分も奮起しなければと決意します。
巻き添えになった形に見えるシカマルとチョウジですが、53話からずっと、いのに働きかけていたのはシカマルです。
いのにサクラとの関係を再確認させたのは、「昔 親友だったんだろ…!?」と言ったシカマルの言葉です。
シカマルは自分とチョウジの関係と、いのとサクラの関係を重ねていたのかも知れません。
シカマルは面倒くさがり屋で、自分から積極的に仲間を求めるタイプではありません。
しかし友情や仲間を大事する気持ちは、人一倍ある子です。
この点は後の物語で、しっかり描写されています。

 

54話はサクラの心境の変化が、最大のポイントです。

 

サクラは幼少の頃にいじめられっ子だったこと以外は、それほど苦労をせずにアカデミーを卒業できたと思われます。
いのと友だちになってから明るくなり、アカデミーでは生来の明晰な頭脳が評価されて、だんだん自分に、自信を持てるようになっていったのではないでしょうか。

 

しかし54話の冒頭にあるように、サクラは自分の未熟さに気がつきます。

 

34話でサスケから、「はっきり言って、実力はナルト以下だ」と言われていました。
寸暇を惜しんで修業したいサスケと、寸暇を惜しんでサスケと一緒にいたいサクラとでは、忍として生きることについて意識が全く違います。
ナルト、サスケ、リーに共通しているのは、才能があるとか無いとか関係なく、自分を高めるために努力を惜しまないという点です。
サクラにはそれが見られません。

 

しかもサクラは、サスケが好きだと口にしているにも関わらず、サスケのピンチに役に立っていませんでした。
それに引き替えリーは、サクラが好きだと公言しただけではなく、サクラのピンチに命懸けで敵と戦っています。

 

サクラは、馬鹿にしているナルトにも助けられています。

 

口ばかりで実行が伴わない自分に、サクラは気がついたわけです。
今までの愚かだった自分を変えたいと、ようやく腹の底から思えるようになりました。

 

サクラは頭の良さを生かして上手く基本忍術を使い、ザクを攻撃します。
顔面を殴られ続けても、噛みついた腕を離しません。
なりふり構わない戦い方は、今までのサクラとは別人です。

 

NARUTOの物語の展開上、中忍選抜試験は大きなターニングポイントになっています。
それだけではなく、ナルト達、シカマル達、キバ達、ネジ達にとって、個人的なターニングポイントにもなっています。

 

(54話は、コミック巻ノ6に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ6) (ジャンプ・コミックス)

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