NARUTO・医療忍者
先日NHKで、東日本大震災の体験者の話を見ました。番組の合間に挿入される短い番組です。
民生委員の男性のお話でした。
担当地区に、重点的にケアをしていたお年寄りが7人いたそうです。
津波が来るとわかったので、7人の自宅に行って避難を呼びかけました。
あるおばあさんは、「このまま死んでもいいんだ」と言って動かない。
男性が、「水の中で苦しんで死ぬより、暖かい枕の上で死んだ方がいいんじゃないか?」と言うと、おばあさんは「……その方がいい」と言って、自力で高台の役場へ向かったそうです。
最後に残ったのは、障害者で車いす生活の夫と、その介護をする妻の老夫婦。
男性は自宅へ車を取りに行き、老夫婦の家の前に止めて、担いで夫を運び、妻を乗せて高台の役場へ移動します。
男性がこのエピソードを語っていた場所は、今は津波で流されて更地になった、老夫婦の家の跡地でした。逃げ遅れたら確実に死んでいたでしょう。
話は続きます。高台へ移動してから1分も立たないうちに、「キャー」という声が聞こえたので見てみると、白い飛沫が山の中腹くらいまで見えて、あっという間に波が押し寄せてきたのが見えたそうです。
「もう少し遅かったら、オレも波に呑まれていたのかなぁと思うと……」
まさに、間一髪という状況だったんですね。
男性が声をかけた7人は、全員無事だったそうです。
しかし、声をかけられなかった人達の中で、4人が亡くなっていました。
「一人で動ける人だったので、大丈夫かと思ったんですけど……残念でしたね……」
この男性が優先したのは、他人のサポートがなければ日常生活もままならいお年寄り達です。あと数十秒遅れていたら、自分も含めて、犠牲者がさらに増えていたはずです。男性がもっと多くのお年寄りに声をかけなかったことを、誰も責められないでしょう。
男性の言葉で強い印象を受けたのはこれです。
「……自分の命を守って、初めて次の命が救えるっていうことも学びましたね……」
その時、NARUTOの医療忍者のことを思い出しました。ああ、同じだなと。
綱手が作った医療忍者の掟には、この精神が貫かれています。
第一項:医療忍者は決して隊員の命尽きるまで治療を諦めてはならない!
第二項:医療忍者は決して最前線に立ってはならない!
第三項:医療忍者は決して小隊の中で最後まで死んではならない!
たまにニコ動で、「サクラは何してるんだ!」みたいなコメントを見かけますが、サクラが戦闘に加わらないのもこのためです。
ただし、綱手が作った掟には続きがありました。
第四項:忍法創造再生 百毫の術を極めし医療忍者のみ上記の掟を破棄できる!
(577話・コミック巻ノ61)
サクラは第四次忍界大戦中に、百毫の術を会得します。
サスケが合流したとはいえ、どうしてサクラが、自ら進んで前線に出ようとしたのか疑問だったのですが、もうすぐ百毫の術を発動できるのがわかっていたからだったんでしょうね。
これからは、ヒナタのように前線で活躍する場面が増えるかもしれません。
(632話・コミック巻ノ66)
医療忍者を見ていると、陰で支える人達の重要さをいつも思います。
綱手やサクラのように、百毫の術を会得できた医療忍者は稀です。綱手の付き人のシズネでさえもできませんでした。
影で支える医療忍者の方が、圧倒的に多いんです。
多くの人は、最前線でかっこよく活躍する役をやりたいと思うでしょうが、実は影で支える人達が、大きな力になっていることがある。むしろこちらの方が、よくあることのように思います。
陰で支えている人のことは、いつも心に置いておきたいです。
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