NARUTO・19話「勇気の象徴」
19話の扉絵はサクラが主役。手作りの三体の人形があります。
サクラは、右手に持っている、サスケ人形に頬ずりして嬉しそうです。
左手に持っているのはナルト人形。ただ握っているだけなので、人形はぐったりしています。
机の上に放置されているのは、カカシ人形。カカシ先生は完全に無視ですか〜。
今のサクラの心境を、1枚の絵が表しています。
橋の工事現場。
サクラは暇で、退屈そうです。
タズナ:「あの キンパツ小僧とすかした小僧はどうした?」
キンパツ小僧=ナルト。すかした小僧=サスケ。
タズナから見ても、サスケは、すかした子に見えるんですね。
サクラは二人は修業中だと答えます。自分は優秀なので、先生がタズナの警護を命じたと説明します。
タズナは半分信じていないようです。
そこへ、タズナの仲間が声をかけてきます。タズナに橋作りから降ろして欲しいと頼みます。
無茶をすると、自分達までガトーから目を付けられる。それ以前に、タズナが殺されたら元も子もない、橋作りは止めにしようと持ちかけます。
タズナは断ります。
元々資源が少ない波の国です。貧しいこの国の経済を活性化させる要は、物流と交通です。
今はそれをガトーが牛耳ってしまっている。だから橋の建設は中断できません。
でも、命まで取られたら意味がないと、仲間も必死です。
タズナは仲間に、明日から来なくていいと譲歩します。
タズナと町を歩くサクラ。町の様子が、木ノ葉の里とはだいぶ違うようです。
仕事にあぶれた人達が大勢います。身につけているものも貧相です。
サクラのカバンを狙って、手が伸びます。
サクラ:「キャーーーーー!! チカーン!!」
回し蹴りで一撃を食らわします。
一応この子は、くノ一なんですけどねえ。うかつに手を出しちゃダメでしょ。
このおじさんは、サクラが額当てをヘアバンドのようにしているので、忍者だとわからなかったのかもしれません。そもそも波の国には忍者がいないから、あまり知識がないのかも。
また誰かがサクラのカバンを引っ張ります。
振り返ると、物乞いの子供でした。サクラが手のひら一杯の飴を上げると、子供は目を輝かせます。
タズナは、ガトーが来てから、大人は腑抜けになってしまったと言います。
タズナ:「だから 今… あの橋が必要なんじゃ… 勇気の象徴… 無抵抗を決め込んだ国の人々に もう一度『逃げない』精神を取り戻させるために」
タズナの決意は固い。
サクラはナルトとサスケに思いを馳せるのでした。
二人は必死で修業に励んでいました。
初回より進歩しています。
途中で落ちたナルトは、サスケがまだ登っているのを見て、くやしがります。
一方サスケは、ナルトが付けたクナイの傷を見て、だんだん追いつかれていることに焦りを感じ始めます。
ついサスケと比べてしまうナルトは、気を取られてはいけないと、自分に言い聞かせます。
サクラからもらった、アドバイスを思い出すナルト。
サクラ:「いい? チャクラってのは精神エネルギーを使うんだから 気を張りすぎたりやっきになっちゃダメよ 絶えず一定量のチャクラを足の裏に集めるように リラックスして木に集中すんのよ!」
ナルトは集中し、良い感触を得ます。いけそうです。
しかしその時、
サスケ:「オイ ナルト!」
せっかくの集中が途切れてしまいました。邪魔するなと、怒るナルト。
サスケは、何だか口ごもっています。
ナルトの心の声、
「こいつが オレに話しかけるなんて珍しーな…」
サスケはナルトから目をそらしながら言いました。
サスケ:「サ… サクラ お前に何て言ってた…?」
うわ! こういうサスケは珍しい!!
恥ずかしそうに、言いにくそうにして、冷や汗をかいています。
サスケは教えて欲しいと、素直に言えません。
まあ、相手がナルトですから、余計にそうなのでしょう。
思わずニヤけるナルト。
ナルト:「教えなーい!!」
本心を見抜かれたサスケは、ばつが悪そうです。
二人の間に沈黙が流れます。
夕食Timeです。
タズナの家でガツガツ食べまくっているのは、ナルトとサスケです。
タズナはこんな大勢で食事をするのは久しぶりだと楽しそうです。
ナルト&サスケ:「おかわり!」
二人は食べる量でも張り合っています。
しかし二人とも吐いてしまいます。
サクラは吐くなら食べるのを止めなさいと一喝します。
サスケもナルトも早く強くなりたいので、無理をしてでも食べると主張します。
サクラは部屋に飾ってある、破れた写真に目を留めます。
イナリが食事中ずっとこの写真を見ていたこと、写っていた人を意図的に破ったように見えることを指摘します。
この子は鋭い。
ドキッとする、タズナ、ツナミ、イナリ。
破られた写真の人は、ツナミの夫であり、かつて町の英雄と呼ばれた男。
イナリは黙って部屋を出て行ってしまいました。
英雄と呼ばれた男は、イナリと血が繋がらない父親。ツナミは再婚したようです。
本当の親子のように仲が良く、イナリは、よく笑う子でした。
当時を思い出して、タズナの全身が震えています。
タズナ:「…しかし イナリは変わってしまったんじゃ…… …父親の あの事件以来……」
波の国が抱える問題と、タズナ一家が抱える問題は繋がっているようです。
一国の経済を支えるには、物流はマストになります。
島国の波の国は、海上輸送しか手段がなく、それをガトーに抑えられてしまいました。
ガトーに冨が集中し、国民は貧困に陥っているのが、今の波の国の現状です。
この状況を変えるため、橋を作って、陸上輸送手段を確保しようとしているのがタズナ達です。
しかし仲間の一人はガトーに対抗できないと諦めて、橋作りから降りています。
おそらく今回が初めてではないでしょう。
そう考えると、橋作りをあきらめないタズナは、相当に気骨のある人物とみえます。
そしてタズナの説明から、大人達が無気力になったことに、イナリの義理の父親が関係していることも伺えます。
徐々に、この国とタズナ家の事情が明らかになりつつあります。
現在進行中のNARUTOは、ナルト達が16歳〜17歳の物語です。
それと比べると、下忍になったばかりのナルト達は、まだ幼くて、あらゆる意味で表現がストレートです。
ナルトは言わずもがなですが、サクラも思ったことを、割とすぐ口に出しています。
サスケも口数こそ少ないですが、674話のサスケと比べると、圧倒的に表情が豊かです。
こんな頃もあったんですよね−。
作者の岸本さんは、キャラクターの表情の書き込みが上手い。
子供は子供らしく、大人は大人らしく描き分ける力があるので、三人が成長していく姿を違和感なく追っていけます。
台詞回しの上手さと描写力の高さ、この両方が備わっているところが、NARUTOの強みですね。
(19話は、コミック巻ノ3に収録されています)
NARUTO―ナルト― モノクロ版 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)
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