抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・66話「サクラの勧告」

カブトは「第三の試験」の予選を辞退します。
ナルト達3人はびっくりです。

 

ハヤテ:「え−−−と… 木ノ葉の薬師カブトくんですね…  では下がっていいですよ……」

 

ハヤテは他に辞退者がいないか確認します。
これからは個人戦なので、自分自身で判断するように伝えます。

 

ナルト:「カブトさん… 何でやめちゃうの!? 何でだってばよ!?」
カブト:「すまない…ナルトくん… けどボクの体はもうボロボロなんだよ  実は…第一の試験前に音の奴らとモメた時から 左の耳が全く聞こえないんだ……  その上 
命懸けって言われちゃ ボクにはもう…」

 

しゅんとなるナルト。一緒に頑張ろうといったのに、辞退してショックなんですね。
サスケは疑り深そうな目で、カブトを見ています。

 

三代目は前回も本戦で棄権したカブトを覚えていました。
どういう経歴かアンコに尋ねます。
アカデミー時代からあまり目立つ生徒ではなく、成績も平凡。
3度目にしてようやく卒業試験に合格。
こなした任務は、Cランク2回とDランク14回。
とりたてて目立った戦歴はなし。

 

ただ一つだけ…アカデミー時代以前のこと。

 

アンコ:「覚えておられますか あの桔梗峠の戦いで連れ帰られた 一人の少年の話…」
三代目:「覚えておる…  確か戦場で生き残っていた敵の少年を……… 医療部隊の上忍が引き取ったという話じゃったな…  ヤツがその子というわけか…」

 

カブトは65話で目配せした、音忍の様子を伺っています。

 

カブトはこれ以上戦うと血が騒いで、自分の本当の力を出しかねないため、辞退したようです。
音隠れのスパイである以上、正体を見破られるわけにはいきません。

 

カブト:「ちょうどいい アナタが御覧になるなら… ボクの−−−−情報収集役も用済みですね 大蛇丸

 

やはりあの音忍は、大蛇丸が化けていた忍でした。
大蛇丸はカブトが辞退した理由を見抜いているようです。

 

カブトが試験を降りたので、カブトのチームメイト(=音隠れのスパイ)が、勝手な行動を取るなと注意します。
カブトはあなた達に任せると言います。

 

サスケの首筋に痛みが走ります。痛みの間隔がだんだん短くなっているようです。
サクラはそれに気がつきます。
他に辞退者がいないか、ハヤテが最後の確認をします。

 

サクラ:「サ… サスケくん…  サスケくんもこの予選…やめた方がいいわ!」

 

驚くナルト。サクラを睨むサスケ。

 

サクラ:「だ… だって 大蛇丸って奴にやられてから サスケくんずっと変よ! 今でも痛むんでしょ そのアザ…  このままいけば……!」

 

ナルトはアザのことを知らないので、話が見えていません。

 

サクラは49話でサスケが呪印を喰らったときのことや、56話で人が変わったような目付きのサスケのことを思い出しています。

 

サクラ:「………… …お願い…」

 

サスケもナルトも、サクラの様子がいつもと違うのに気がつきます。

 

サクラ:「……お願いだから やめて…  私… 怖いの…」

 

サクラの目には涙が浮かんでします。
ナルトはサクラの様子に驚いています。

 

サクラ:「今のサスケくんは まともに戦える状態じゃないわ……!!」
サスケ:「黙れ…」
サクラ:「私には分かってる ずっと痛みもガマンしてるじゃない! サスケくん!」

 

サクラは泣いています。

 

サスケ:「静かにしてくれ…」
サクラ:「サスケくんが何と言おうと私… そのアザのこと先生たちに言うわ! そうすれば…」

ナルト:「!」

 

サスケがサクラの腕を掴みます。

 

サスケ:「このアザのことは… 黙ってろ」
サクラ:「くっ… どうして そう強がるのよ! ずっと苦しんでるサスケくんなんて もう見たくない  私にはサスケくんが………」
サスケ:「お前には関係ねーだろ  余計なお世話なんだよ」
サクラ:「!!」

 

サクラは涙目です。あの時のように2人の視線がぶつかります。
56話で呪印が解放されて、別人のようになったサスケをサクラが止めた時です。

 

サスケ:「サクラ… お前には一度 言ったはずだ  オレは復讐者だ」

 

7話のサバイバル演習の時のことですね。

 

サスケはこれは単なる試験ではなく、中忍になることも関係が無いと言います。
自分は強いのか、その答えが欲しいだけ。
ここには強い奴らがいて、そいつらと戦いたかっただけだと言います。

 

サスケ:「いくらお前でも… オレの道を奪うことは許さない…」

 

ナルトは「サクラちゃんがこんなに心配してるのに、何かっこつけてんだ」と怒ります。

 

サスケの脳裏にある強い奴とは、我愛羅、リー、ネジ…そして、

 

サスケ:「ナルト… オレは お前とも闘いたい…」
ナルト:「………!!」

 

サスケの様子から呪印を喰らっていることは、三代目達にはわかっていました。
さすがは火影様と上忍達です
アンコはサスケを試験から降ろして、暗部の護衛を付けるべきだと主張します
カカシはサスケが素直に言うことを聞くはずがないと言います。
自分も呪印を喰らっているアンコは、チャクラを練り込んだだけでも呪印が反応して力を引き出そうとする、術者の体をむしばむ禁術だと反対します。
サスケが耐えているだけでも不思議で、本当ならもう死んでいると言います。
三代目は大蛇丸の言葉が気に掛かるので、このまま様子を見ると決断します。
ただし呪印が少しでも暴走したら、止めに入るように命じます。

 

1人棄権したので、残り20名で予選を行うことになりました。
1対1の10回戦を行い、勝者が本戦に進みます。
ルールは一切無し。
どちらか一方が死ぬか倒れるまで、あるいは負けを認めるまで闘う。
ただし勝負がはっきりついたと審判のハヤテが判断した場合は、止めに入るそうです。

 

電光掲示板が開かれて、第1回戦の2名が発表されました。

 

1回戦は、カブトのチームメイトの赤胴ヨロイ対うちはサスケ

 


大蛇丸が会場にいることを確認した上で、カブトは棄権しています。
情報収集するために自分が闘わなくても、大蛇丸自身の目で確かめられるので大丈夫という判断でしょう。
これ以上試験に参加していると本気を出してしまいそうなので、怪しまれるのを恐れて棄権しました。
同じスパイのヨロイの言葉からすると、事前の打ち合わせは無く、その場の状況判断だったようです。
大蛇丸もカブトの判断根拠を見抜いて、それを黙認しています。
この2人は知力が高く、観察力も洞察力もあります。

 

ナルトは大蛇丸から五行封印を受けて気絶していましたから、サスケが呪印を喰らっていることは知りません。(49話
ことの一部始終を知っているのは、第七班の中ではサクラだけです。

 

サスケが呪印で苦しんでいる間も、サクラはずっと看病をし、気絶していたサスケとナルトを守ろうと必死でした。
サスケは賢い子ですから、リーやシカマル達の援護があったとはいえ、自分が無事でいられたのはサクラの頑張りがあったからだとわかっていると思います。
ザクにボコボコに殴られたサクラの顔を見た時、彼女がどれだけ必死で戦ったのかわかったはずです。

 

サスケが「オレは復讐者だ」と本音といえる言葉を語った相手は、サクラだけです。
私はこれは重要なポイントだと思っていて、7話でサスケが思わず自分のことを語ってしまった内容と、今回のサクラとの会話は繋がっています。
7話から続くこの2人のやり取りの内容を、ナルトは全く知りません。
ナルトが知らない、サスケとサクラの繋がりを感じてしまいます。

 

56話で呪印で暴走するサスケを止めた時と、今回試験を辞退するように訴えるサクラは同じ目をしていました。
56話でも66話でも、その目をじっと見つめるサスケの描写が入っています。
サスケはサクラの打算がない、純粋な愛情を感じているはずです。
しかしそれを素直に受け入れることが、彼にはできていません。12歳の子供でもありますし。
それに兄に対する復讐を誓ったときから、サスケの心はずっと闇の中にいたと思いますので、他者からの友情や愛情をそのまま受け入れる準備が、まだできていないのだと思います。

 

ただしサスケはサクラに対して、「いくらお前でも…」という表現をしています。
サスケがサクラを他とは違う存在だと認めていなければ、出てこない言葉だと思います。
54話でサクラはリーと比べて、実行が伴っていなかった己を反省していますが、よく見ていると、彼女なりにできる限りのことをサスケにしてきています。
あまり自分の個人的なことは語らないサスケが、7話でサクラに話してしまったことや、サクラが積み重ねてきた行動を鋭敏なサスケが分からないはずはないと考えると、サスケにとってサクラは「ちょっと特別な女の子」だと思わずにはいられません。

 

(66話は、コミック巻ノ8に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ8) (ジャンプ・コミックス)

NARUTO (巻ノ8) (ジャンプ・コミックス)