抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・36話「サクラの憂鬱!!」

森の中に2人の少年と1人の少女がいます。

5年ぶりにルーキーが中忍選抜試験に出場すると、話題になっています。

アカデミーを卒業したばかりの新人が選抜試験に参加するのは、彼らの会話からすると異例のようです。

三代目が言っていたように、それなりの数の任務をこなさないと、チャレンジするのは難しい試験のようですね。

どうせ上忍同士の意地の張り合いだろうと、お団子頭の少女は思っているようです。

おかっぱ頭の少年は、その内の3人は「あのカカシの部隊」だと言っています。

今までカカシの担当で下忍になれた者は0(ゼロ)。

カカシが初めて合格させた下忍ですから、興味があるのでしょう。

「それは面白い」と白目の少年が言います。

 

カカシを待ちわびるナルト達。

 

サクラ:「ねェ! ねェ! ねェ!! こんなことが許されていいワケぇ!? 何であの人は自分で呼び出しといて 常に人を待たせるのよ!!」

ナルト:「そーだ! そーだ! サクラちゃんの言う通りだってばよォ!!」

 

サクラは寝坊しそうになって、髪をブローするのを諦めて飛んできたようです。

ナルトも寝坊しそうになったので、顔も歯も磨けなかったらしいです。

それは汚いとサクラからツッコミが入ります。

なぜ2人は朝っぱらからハイテンションなんだと、サスケはついていけません。

ナルトとサクラは、ある部分では意気投合しますね。思ったことを口にするところも似ています。サスケは別。

 

遅刻常習犯のカカシ先生が到着しました。「今日は人生という名の道に迷った」と言い訳しています。

ナルトとサクラは怒り爆発。

 

カカシは話題を変えてさらっと、「お前達を中忍選抜試験に推薦しちゃったから」と言います。

えっ、そんなんでいいんですか、カカシ先生。

怒りが収まらない2人は、そんなこと言ってもごまかされないと言います。

 

カカシ:「志願書だ」

 

試験の話は本当でした。

ナルトは豹変。先生大好きとカカシに抱きつきます。抱きつかれたカカシは迷惑そう。

推薦しても強制力はないそうです。受験するか決めるのは本人。

 

カカシ:「受けたい者だけその志願書にサインして 明日の午後4時までに学校の301に来ること 以上」

 

カカシは消えます。

 

志願書を渡された3人。反応はそれぞれ違います。

ナルトは嬉しくてたまりません。ここで優勝すれば火影への道もすぐだと、1人で妄想しています。

サスケは我愛羅の顔を思い出しています。我愛羅と闘えるかもしれないと、闘争心が湧いてきました。

 

サスケ:「フン!」

 

「フン」が出た! 受験を前向きに受け止めている証拠です。

 

サクラは2人と違います。

「私… イヤだ… …サスケ君…ナルトにすらついて行けないのに… …中忍選抜試験なんて…」

 

次の日。

志願書を持って3人が集まります。一緒に行くようです。

元気いっぱいに挨拶するナルト。サクラも挨拶を返します。

サクラはナルトに志願書の記入漏れを注意しています。いつも通りサクラは突っ込み役です。

しかしサスケは、サクラの様子がおかしいことに気がつき始めます。

サスケはサクラの微妙な変化を感じ取っています。

 

アカデミーには志願者が大勢集まっています。

なにやら騒ぎが……?

志願書を提出する301教室の入り口に、2人の忍者が立ちはだかって、中に入れてくれないようです。

 

「ふ〜〜〜〜〜ん そんなんで中忍試験受けよっての? やめた方がいいんじゃない ボクたち ケツの青いガキなんだからよォ…」

 

森の中にいた3人組の1人、おかっぱ頭の少年がやられたようです。

お団子頭の少女が通して欲しいと頼みますが、蹴り飛ばされて入れてもらえません。

 

2人は志願者達に言います。

中忍試験は難関。自分たちも3期連続で合格を逃している。

受験したばっかりに、忍者をやめる者や再起不能になった者もいる。

それに中忍は部隊の隊長レベル。任務の失敗や部下の死亡などすべては隊長の責任になる。

どのみち受からないものをここで篩(ふるい)にかけて何が悪い。

 

サスケ:「正論だな……だがオレは通してもらおう そして この幻術でできた結界を とっとと解いてもらおうか…… オレは3階に用があるんでな」

 

志願者達はサスケの言っている意味がわからない様子です。

妨害している2人は、サスケに見破られたことに気がつきます。

 

サスケ:「サクラどうだ!? お前なら一番に気付いてるはずだ…」

サクラ:「え…?」

 

急に話を振られたサクラは一瞬とまどいます。

サスケはニヤっと笑いながら、

 

サスケ:「お前の分析力と幻術のノウハウは……オレ達の班で一番伸びてるからな」

 

「サスケ君…」

サクラはサスケが自分に何を言いたいのか気づきます。

じっと黙ってサスケの気持ちをかみしめるサクラ。

何が何やら、わからないナルト。

サクラが自分の気持ちを受け取ってくれたことを確信して、サスケの口元が微笑みます。

 

ここの描写はとても丁寧で、かつ重要です。

サスケとサクラは、志願者がトラップに嵌まっていることを見抜いています。

そしてお互いの気持ちが通じ合っています。

鈍いナルトはそれについて行っていません。

 

サクラ:「フフ…もちろんとっくに気付いてるわよ だってここは2階じゃない

 

ナルトも「うん!」とうなづきますが……アンタ便乗してるだけでしょ!!

 

2人の妨害者は幻術を解きます。

「なかなかやるな でも見破っただけじゃね」と、いきなり攻撃してきました。

妨害者とサスケの間に割って入ったのは、さっきやられていた、おかっぱ頭の少年です。

さきほどとは別人のようです。少年の動きの速さにサクラは驚きます。

サスケも自分の蹴りを腕で止めた少年の能力に驚きます。

少年は下手に注目されて警戒されたくないために、実力を隠していたようです。

少年が実力を明かした理由は……、

 

少年:「ボクの名前は ロック・リー サクラさんというんですね… ボクとお付き合いしましょう!! 死ぬまでアナタを守りますから!!

 

えー!! こんなところで告白〜!?

サクラは絶対に嫌だと答えます。

ガックリとうな垂れるリー。

白目の少年がサスケに名前を尋ねます。

サスケばかり注目されるので、ナルトは面白くありません。

 

妨害した2人は、試験管が化けた忍者でした。

「あれがカカシとガイの秘蔵っ子か」と、影から6人を見ています。

今年の受験生は楽しめそうだと話し合っています。

 

サクラ:「さあ! サスケ君 ナルト 行くわよ!!」

 

俄然やる気が出てきたサクラは、サスケとナルトの手を引いて301教室へ向かいます。

ナルトは手を引かれながら、誰からも注目されなくてしょんぼり。

サスケは「引っぱるな」とサクラに文句を言っています。

サクラの前向きな気持ちが伝わってきますね。

 

3人を見つめるリー。確かめたいことがあると言って、仲間の2人を先に行かせます。

 

リー:「目つきの悪い君 ちょっと待ってくれ!」

 

目つきの悪い君=サスケ。

 

サスケ:「何だ?」

 

リー:「今ここで−−−−−−−−−− 僕と勝負しませんか」

 

紅班とアスマ班に続く、新キャラの登場です。

担当上忍はガイ。

ルーキーではないので、ナルト達より年上です。

彼らは1期上です。つまり昨年の卒業生です。

 

36話のポイントは、サスケとサクラのやり取りです。

明らかにサスケは、サクラを思いやって行動しています。

彼なりの表現でサクラを励ましています。

NARUTO・うちはサスケ1 - 抹茶みるく日記でも書きましたが、サスケの優しさが丁寧に描写されている、とてもいいエピソードです。

彼はナルト以上に、サクラのことをよく観察して理解しています。

ナルトは孤独な立場の人を理解するのは得意ですが、サクラのような優等生の気持ちを理解するのは苦手なのかもしれません。

ナルトから見てサクラは「できる女」ですから。

 

私が36話で一番好きなカットは、サクラがサスケの気持ちを受け取ったのを確信して、サスケが横顔で微笑んでいるところです。

目元は影になって隠れていて、微笑んでいる口元だけが描かれています。

自分の気持ちがサクラに通じた嬉しさと、サクラが自信を取り戻してくれた嬉しさが滲み出ている、いい場面です。

あのコマはすごくイイナ♡

 

サスケは他人に素直に言葉をかけられません。これまでもそうでしたし、今(676話)もそうです。

元々口数が少ない子です。たまに口を開いても遠回しだったり、素直な表現はしません。

言葉通りにしか受け取れない人は、サスケの意図を汲むのが難しいかもしれませんね。

でもサクラはサスケの意図を受け取っています。

賢い彼女はサスケの言動に込められた意味を把握できる子です。

彼の優しさと自分への気遣いと励ましも、しっかり受け止めています。

 

サスケのようなタイプには賢い女性がいいんですよ。

それにサスケも頭のいい女性が好みだと思います。

サクラとはいいカップルになると思うんですよね。

 

(36話は、コミック巻ノ4に収録されています)