NARUTO・8話「だから不合格だってんだ!!」
「3人とも忍者をやめろ」
カカシから言い渡された、ナルト、サスケ、サクラ。
イルカ先生は、自分が受け持っていたナルト達のことが気がかりで、三代目火影を昼食に誘っています。担当上忍ってどんな先生ですか?厳しい方でしょうか?
イルカの細やかな情愛がにじみ出る場面です。
受け持った子供達は無事に下忍になれるんだろうか、上忍の先生から厳しくされているんだろうか……、色々な思いが浮かんでくるんでしょうね。
三代目は、カカシが今迄担当した下忍の合否リストを見せます。驚愕するイルカ。
合格者は一人もいません。
カカシのテストはちょっと難しい、子供は素直だから……、と三代目は説明します
ナルト達は、カカシの言葉に納得ができません。
確かに鈴は取れなかった。でも忍者をやめろとまでは、言われる覚えはない。
「どいつもこいつも 忍者になる資格もねェガキだってことだよ」
切れたのはサスケ。カカシに飛びかかっていきますが、簡単にねじ伏せられてしまいます。
合否の判定に不服のあまり、切れてしまうのはガキのすること。
カカシは、何のために班ごとのチームに分けて演習をやっているのかと問います。
この試験の答えが全くわからない三人。
カカシの答えは…
「それは チームワークだ」
三人でくれば鈴を取れたかもしれない。でも単独では、アカデミーを卒業したばかりの子供が、上忍に太刀打ちできるわけがない。
サクラは別のことに気がつきます。鈴は2つしかないのに、なぜチームワークなのか。
三人で協力して鈴をとっても、一人は確実に落ちる。仲間割れは必至でしょ。この子は賢い。
実は、それも折り込み済みでした。
本当の目的は、自分の利害に関係なく、チームワークを優先できる者を選抜することだったのです。
スゴ〜、深い!! 子供にとっては相当に難しい課題でしょう、これは。
サクラは、目の前のナルトのことより、どこに居るかもわからないサスケの事ばかり考えていた。
ナルトは、一人で独走するだけ。
サスケは、二人を足手まといと決めつけて個人プレイのみ。
忍者にとって個人の技能は必要だが、任務は班で行うもの。
チームワークを乱す個人プレイは、仲間を危機に落とし入れ殺すことになると、カカシは説明します。
カカシは、かつての自分の過ちを繰り返させたくない一心なんですね……。
物語が進んでいる今、すごくわかります。
たとえば、
「サクラ! ナルトを殺せ さもないとサスケが死ぬぞ」
とか、任務は命がけの仕事ばかり。
カカシは、石碑に名前を刻まれている忍び達は、里で「英雄」と呼ばれている者たちだと説明します。
「英雄」と聞いて、ナルトは反応。自分もそこに名を刻むと決めた、犬死になんかするか、と張り切りますが……、ナルトは軽く考えていました。
これらの英雄は、ただの英雄じゃない、任務中に殉職した英雄達。
ナルトの表情が変ります。同時にサクラもサスケも。
この石碑は慰霊碑でした。カカシの親友の名も刻まれているそうです。
カカシの過去が物語の大きな伏線になっていたことは、後になって明らかになります。
忍者になることがどういうことなのか、三人は改めて知るのでした。
カカシは最後にもう一度チャンスをくれます。
合格基準が分かった以上、次はイケるはず。
しかし、トラップがまだ用意されていました。
挑戦したい奴だけ弁当を食べてよし、ただしナルトには食べさせないこと。
ルールを破って、一人だけ早弁しようとした罰です。
もしナルトに食べさせたら、その時点で食べさせた奴を失格にさせると、申し渡されます。
カカシが去った後、サクラとサスケは弁当を食べ始めます。再挑戦するようですね。
丸太に縛り付けられたナルトは、お腹が鳴っています。
飯なんか喰わなくったって平気だと強がっていますが、空腹には耐えられそうにありません。
その様子を見ていたサスケは、なんと弁当を差し出します!
仰天するのはサクラ。先生の言いつけを守らなかったら、失格になってしまいます。
慌ててサスケを止めますが、カカシの気配はしないから大丈夫だとサスケは言います。
次は三人で鈴を取りに行く、空腹のナルトに、足手まといになられたら困るからだと説明します。
三人で取りに行く−−−来ましたね〜! サスケは仲間の力を借りることにしたようです。
サスケの覚悟を理解したサクラも、ナルトに弁当を差し出します。
そこへ、
「お前らぁぁあ!!」カカシ登場!
絶叫するナルトとサクラ、シマッタ!という表情のサスケ。
「ごーかっく♡」
サクラ:「え!?」
ナルト:「は?」
サスケ:「……」
何で合格!?
そりゃあそうですよね。
忍者は裏の裏を読むべし。
今までの卒業生は、素直にカカシの言うことをきくだけのボンクラだった、自分たちで考えて行動したのは、三人が初めてだった。
「忍者の世界で ルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる……けどな! 仲間を大切にしない奴は それ以上のクズだ」
名言キタ〜〜!!
この言葉が、物語のキーフレーズになっていることは、後々明らかになります。
カカシの解説を聞いて、関門をクリアしたことを実感し、喜ぶ三人。
こうして、めでたくナルト達は、正式に忍者になりました。
物語も本格的に動き出します。
読み返してみると、最初から、今(673話)に至る伏線が、すでに仕込まれていたんですね。
ネット上で、NARUTOが長期連載化していることについて、作者が話を引き延ばしているというようなコメントを見かけることがありますが、私はないと思います。
最初から全体像は固まっていて、丁寧に描写していったら、思いもかけず長期になったのではないでしょうか。
8話の中でカカシが語っている内容は、ずっとずっと先に待っているエピソードと完全に繋がっています。
さて、忍者をやめろと言われて、カカシに飛びかかっていったのが、ナルトではなくサスケだったのが面白かったです。まあ、ナルトは丸太に縛り付けられていたから動けませんでしたが、たぶん縛られていなくても、サスケの方が早く動いたと思います。
ナルトとサスケには、どうしても忍者になりたい強い動機があります。
特にサスケの場合は理由が理由なので、忍者になれなければ、目的の相手を倒すことは到底不可能になります。カカシに言われて相当に悔しく、何が何でも力を認めてもらおうと思ったのでしょう。
それと8話は、サスケという子が、復讐に染まっているだけの、心の冷たい人間ではないことも見て取れます。
カカシから合格基準を教えてもらったので、三人で取りに行くのは当然かもしれません。
カカシが用意した第二の仕掛けは、わざと朝食を抜いてこさせて、さらに一人だけ昼食も与えない状況を作ること。そして弁当を与えた者は失格というルールを与える。
失格になるリスクが高まる状況下で、サスケが打算だけでナルトに弁当を分け与えるとは、私には思えません。
サスケなりに、個人の力よりチームの力の方が大きいことを感じたのだと思います。
それは、口数が少なく、積極的に人との関わりを持とうとしないサスケにとって、 1つの変化なのではないでしょうか。
リスクを冒してもナルトに弁当を分けること決めたサスケは、元々思いやりのある子なのだと思いました。
さらに8話は、この物語を貫いている考え方が提示されています。
それは、チームワーク、仲間の力、即ち、人との繋がりが生み出す力です。
NARUTOの物語は、人との繋がりが生み出す力を、ひたすら描写している物語でもあると思います。
(8話は、コミック巻ノ2に収録されています)
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