NARUTO・マイト・ガイ1
「お前……忍術や幻術が使えないって時点で 忍者じゃないだろ」
かつて、ネジがリーに言った台詞です。
(179話・コミック巻ノ20)
672話の回想で、カカシも似たようなことをガイに言っています。
忍として生きる道を選んだならば、実力をつけるしかない。そのため、ガイは体術にひたすら磨きをかけてきました。
父のダイも忍術がダメで、万年下忍でした。体術に特化して修行を積み、八門遁甲を体得します。ガイの八門遁甲は父から伝承されたもの。
マダラに忍術は効かない。忍術頼みの忍者は役に立たないので、体術のスペシャリストのガイがやるしかない、という状況になります。
私は、究極の状態の中で、最後の頼みが人間が持つ本来の肉体の力というところに、人間の力を信じる作者の目を感じます。
ガイやその弟子のリーは、チャクラを知らなかった頃の、本来の人間の持つ能力が素晴らしいものであることを、証明しているように見えます。超能力のような忍術や幻術を取り払った、素の人間の力が、実は一番強いということを。
その力は、あきらめない心、希望。ガイは父からそれを学び、リーはガイから学びます。彼らが肉体の極限まで修行を続けることができたのも、その力です。
落ちこぼれだった自分たちが、修行を続けてどこまでやれるのか、不安になる日もあったはずです。目標に到達する「Xデー」があるとするならば、それはいつなのか誰にも分かりません。分からないまま努力を続けられる力こそが、彼らの力だったのです。
彼らの生き方は、時にナルト以上に私を励ましてくれます。
人間の可能性を信じる、人間肯定の温かいまなざしが、この作品にはある。
だから、私はNARUTOが好きです。
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