抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・16話「お前は誰だ!!」

16話の扉絵はカカシの部屋です。

この一コマにたくさんの情報が詰まっていたとは、初見では全く想像していませんでした。

まだベッドの中のカカシ。なんと、マスクをしていません!! 

でも、布団で口元が隠れて見えません(涙)

枕元には、目覚まし時計、”ウッキー君”の名前が付いた観葉植物、『イチャイチャパラダイス上』1冊、そして2つの写真立てがあります。

一つは、カカシとナルト、サスケ、サクラの写真。

三人の子供達の後ろにカカシがいて、カカシが両手でナルトとサスケの頭を抑えて笑っています。サクラは、ナルトとサスケの間にいて笑顔で写っています。

もう一つは……、カカシ達の写真と同じ構図です。

カカシの位置に先生と思われる男性がいて、二人の男の子の頭を、カカシと同じポーズで抑えています。男の子の間には、笑顔の女の子がいます。

男の子の一人はカカシのミニチュアのような子で、もう一人はゴーグルをした子です。

これは明らかに、カカシの子供時代の写真。

年月を経て、今度はカカシが先生ポジションになり、かつての先生と同じポーズを取っているんですね。

木ノ葉隠れでは、担当上忍の先生と記念写真を撮る習慣があるようです。

 

NARUTOは、人の繋がりが生み出す力を丁寧に描写している作品です。

それは横の繋がりだけではなく、縦の繋がり、つまり世代間の繋がりも重要なポイントになっています。写真はそれを象徴するアイテムとして使われています。

教わる側だったカカシが、今は教える側になっている。

時は流れていきます。でも、ただ過ぎ去るだけではなく、その中に人の出会いと成長がある。それがギュッと凝縮された描写です。

実は写真の男性は、将来ナルトの父親になる人です。当時は独身だったかもしれません。ナルトのような子供を持つなんて、全く想像していなかったでしょう。

未来のことはわからないけれど、人は一生懸命生きていて、その中で次の世代に受け継がれていくものがある、そんなことを考えさせられる写真です。

そして先の物語を知っているだけに、2枚の写真を大事にしているカカシのことを思うと、せつなくてなりません。

 

面を付けた少年が、ナルト達の前に現れます。

 

再不斬の脈を調べるカカシ。確かに死んでいることを確認します。

再不斬を確実に殺す機会を伺っていたと、少年は言います。

背丈や声からして、ナルト達とあまり変わらない年頃の子です。

少年はカカシに礼を言い、”抜け忍狩り”を任務とする、霧隠れの追い忍部隊の者だと自己紹介します。

カカシは、この年頃で追い忍とは、ただの子供じゃないと推測します。

 

なんなんだってばよ!!! お前は!!?

 

敵じゃないとカカシは説明しますが、ナルトが言いたいのは、そういうことではありませんでした。

あんなに強い再不斬が殺された。しかも自分と変わらないガキに、簡単に殺された。

自分達がバカみたいじゃないかとくやしかったのです。

 

カカシは、世の中には自分より年下で自分より強いガキもいる、それが事実だと言います。

サスケも表情が厳しくなります。

二人ともあんなにボロボロになって戦ったのに、現実を目の当たりにしてショックなのでしょう。

木ノ葉隠れの里しか知らなかった二人は、世界が広いことを初めて知ります。

 

少年は、死体の処理をしなければならないと言って、死体と共に消えます。

 

タズナの家へ向かおうとしますが、カカシが倒れてしまいました。

子供三人+高齢者で、どうやってカカシを運んだのか、カカシはタズナの家で寝込んでいます。

タズナの娘のツナミが大丈夫かと、カカシに声をかけますが、カカシは1週間くらいは動けそうにないと答えます。

サクラが、写輪眼ってすごいけど、体にそんなに負担がかかるなら考えものだと言います。この子は指摘が鋭い。

とにかく再不斬を倒したから、しばらくは安心だろうと、皆ほっとしています。

 

話題がお面の子に移ります。

追い忍とは通称、死体処理班とも呼ばれて、その忍者が生きた痕跡を一切消すことを目的にしている。

忍者の体は忍術の秘密やチャクラ性質など、様々な情報の宝庫なので、死体を分析されると敵に術ごと奪い取られる危険性がある。

里を捨てた”抜け忍”を抹殺して、死体を完全に消すのが”追い忍”の仕事。

 

カカシ:「音もなく 嗅いもない… それが忍者の最後だ」

 

厳しいですね。葬式を出してもらえる忍者の方が少ないのかも。

 

お面の少年は、再不斬の死体の口布を切ろうとします。そのとき、

 

再不斬:「…いい… 自分で……やる…」

少年:「なんだぁ… もう生きかえっちゃったんですか…」

 

この子は再不斬の仲間でした。

少年は面を取ります。え?この女の子だった……のではなく、女の子のような可愛い顔をした男の子でした。

 

少年:「ボクが助けなかったら アナタは確実に殺されてましたね」

 

仮死状態にするために、首の秘孔を狙ったのでした。

もっと安全なツボでもよかっただろうと、再不斬は不平を漏らします。

少年は、再不斬の体に傷を付けたくなかったし、筋肉の少ない首の方が確実にツボを狙えたと説明します。1週間程度はしびれて動けないけど、再不斬ならすぐに動けるようになるかもしれないと言います。

この少年の表情にはあどけないさがあります。邪気が感じられない。

 

再不斬:「…まったく お前は純粋で賢く汚れがない……そういうところが気に入ってる」

 

再不斬に言われて、少年は笑顔で、自分はまだ子供だからと言います。笑顔が可愛い。

次は大丈夫かと聞かれた再不斬は、次なら写輪眼を見切れると答えます。

 

眠っていたカカシが目を覚まします。

悲鳴を上げるナルトとサクラ。どうやらカカシが眠っている隙に、マスクの下を覗こうとしていたようです。

カカシは、何か重大なことを見落としている気がすると不安そうです。

 

あの無骨で残忍そうな再不斬に、こんな可愛い仲間がいたという、意外な展開になりました。しかも少年の表情から、再不斬を慕っていることが窺えます。

脅されて、無理矢理仲間にされたわけではなさそうです。

 

うちは一族ではないカカシが、写輪眼を多用するとバテるという設定がここで明らかになりました。カカシにとって写輪眼は最強の武器になりますが、諸刃の剣でもあります。

今回の任務は、初めて里の外に出たナルト達にとって、視野を広げる大きなきっかけになっています。

仲間だったとはいえ、再不斬と事前の打ち合わせはなかったのですから、本当に少年には首を狙って殺せる腕前があったでしょう。

ナルトは、再不斬を倒した同じ年頃の少年の出現に、衝撃を受けます。

口には出しませんが、サスケも同様です。

ルーキーNO.1と呼ばれても、所詮は木ノ葉のアカデミーの中でのことです。

小学校では成績NO.1でも、中学に入学したら、自分より優秀な生徒がいるのはよくある話です。高校、大学と進学したら尚更です。社会に出れば、学校で何番だったかは何の意味も持ちません。

ナルト達は、井戸の中から大海へ泳ぎ出したところ。経験するすべてが、彼らの血肉になっていくでしょう。

ナルトがこの任務で、大事なものを獲得するはもう少し先の話になります。

 

(16話は、コミック巻ノ2に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ2) (ジャンプ・コミックス)

NARUTO (巻ノ2) (ジャンプ・コミックス)