抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・25話「夢の為に…!!」

ヒーロー登場!! なんですが……

 

ナルト:「オレが来たからには もう 大丈夫だってばよ! 物語の主人公ってのは 大体 こーゆーパターンで出て来て あっちゅーまにィー 敵をやっつけるのだァー!

 

口上が長いってばよ。

 

目立つ登場をしたらいい的(まと)だと呆れるカカシ。

喜ぶサクラ。

倒れながらも話が長いと呆れるサスケ。

再不斬はつまらんガキが来たという感じ。

白は森の中で出会ったナルトを思い出します。

 

あっけにとられたカカシの隙を突いて、再不斬は手裏剣でナルトを攻撃します。

ナルトは味方まで掻き回しています。カカシ先生、ガンバ〜

 

白も同時に千本を放ちます。

身構えるナルト。

 

なんと白の千本は、再不斬の手裏剣をことごとく打ち落とします。

意外な展開に驚くカカシ達。

再不斬はどういうつもりだと白に尋ねます。

白は再不斬に、ナルトとの戦いは自分の流儀でやらせて欲しいと頼みます。

 

再不斬:「手を出すなってことか… 白 相変わらず甘いヤローだ…お前は…」

 

意味深な言葉ですね。”相変わらず”ということは、再不斬は白のことをよくわかっている。

 

サスケも白を”甘い”と思います。白が急所を狙っていないことは明かです。

氷の鏡の内側で白の術を分析しますが、武器の起動すら見切れないので、全く見当が見当がつきません。

今までの知識では対応できないようです。

取りあえず自分は内側から、ナルトに外側から攻撃させようと考えます。

しかし、

 

ナルト:「よっ! 助けに来たぞ!

 

サスケの目の前にナルトがいる!

 

何でお前まで鏡の中に…、忍びならもっと慎重に動けと、珍しく動揺するサスケ。いつになく言葉数が多いです。

せっかく助けに来たのに邪険に扱われたナルトは、不満たらたらです。

 

助太刀に来たのに状況が悪化するとは、さすが意外性No.1の忍者だと、溜め息をつくカカシ。

 

白が鏡の中に戻っていきます。

あそこが本体かとサスケが思った瞬間、白は別の鏡にいます。

移動が速すぎてついて行けません。

まだナルトは状況が把握できていません。

氷の鏡を壊すしかないと、サスケは火遁を使います。

しかし氷は溶けません。そんな火力では無理だと言う白。

白が千本で二人を攻撃します。

どこから攻撃が来ているのか見切れないため、たやすく的になる二人。

二人からは、多数の鏡に白の姿が映っているように見えます。

ナルトは本体はどこか探します。

 

白:「目で追おうとしても無駄だよ ボクは絶対に捕まらない」

 

ナルトは影分身の術で鏡を一斉に攻撃します。

しかし鏡から鏡へ移動する白のスピードの方が速く、分身達がことごとく倒されます。

 

白:「この術は ボクだけを写す鏡の反射を利用する移動術 ボクのスピードから見れば 君たちはまるで 止まっているかの様…」

 

カカシは術の正体に気がつきます。

 

カカシ:「血継限界だ!

 

血継限界とは、一言でいうと遺伝によってのみ伝えられる術のこと。

写輪眼もその一つです。

血継限界による術は、スキルを学べば体得できるものではないので、写輪眼でコピーするのは無理。破る方法も皆無。

 

ナルトは、こんなところでくたばっていられるか、自分には叶えなければならない夢があると言います。

それを聞いて白の心に、再び森の中でのナルトの姿が甦ります。

 

キーワードは「夢」。

 

白は再不斬と出会った時のことを思い出します。

まだ幼い白。4〜5歳くらいでしょうか。乞食のようなボロを着ています。

一人でポツンといるところに、再不斬が通りかかります。

子供に気がついて話しかける再不斬。

 

再不斬:「お前みたいなガキは 誰にも必要とされず この先自由も夢もなくのたれ死ぬ…」

白:「……お兄ちゃんも…ボクと同じ目してる…」

 

白は自分にとって忍になりきる事は難しいと、ナルトとサスケに言います。

出来るなら二人を殺したくないし、殺されたくもない。

しかし二人が向かってくるなら、自分は心を殺して忍になりきると言います。

この橋はそれぞれの夢へとつながる闘いの場所。

 

白:「ボクは大切な人を護りたい… その人の為に働き その人の為に戦い その人の夢を叶えたい… それがボクの夢 その為なら ボクは忍になりきる あなた達を殺します」

 

ナルトもサスケも夢がある。そしては白にも夢がある。

叶えたい夢のための戦い。

 

サクラはナルトとサスケに声援を送りますが、カカシに止められてしまいます。

カカシは術を破ることができても、二人には白を倒せないと言います。

ナルトとサスケには、心を殺し、人を殺める精神力がない。

反対に白は、忍の本当の苦悩をよく知っていると言います。

 

再不斬は最も重要な「殺しの経験」を積めないので、平和ボケした木ノ葉の里では本物の忍は育たないと言います。

カカシは額当てに手を当てます。

 

カカシ:「悪いが… 一瞬で終わらせてもらうぞ」

再不斬:「クク… 写輪眼… 芸の無ぇ奴だ」

 

どことなく再不斬に余裕が感じられます。

 

白の夢は大切な人を守り、その人の夢を叶えること。

「大切な人」とは、明らかに再不斬です。

白の回想から、幼い頃に再不斬に拾われたのだとわかります。

たぶん再不斬は、命の恩人である以上に、自分の存在を必要としてくれた人という意味で、白にとってかけがえのない人なのでしょう。

 

NARUTOの物語は、人の繋がりが生み出す力が重要なテーマです。

人の繋がりの問題点は、上手く繋がれば発展的な力を生み出しますが、上手く繋がれないとマイナスな方向に向かっていくことです。

人間は他者の存在を抜きにして生きられません。

人と繋がれない、即ち孤独という地獄に落ちてしまうと、すべてがネガティブに見えてしまいますし、考え方もネガティブになります。

それがエスカレートすると、反社会的な行動に出る場合さえあります。

 

今日のニュースでみたのですが、宮崎県で、走行中のバスの乗客などを人質に取って立てこもったとして45歳の男が逮捕された事件で、男が「大きな事件を起こせば育ての親が会ってくれると思った」と供述していたそうです。これも似ていると思いました。

 

孤独については、217話の我愛羅の台詞が端的に表現していると思います。

君麻呂を倒した後、我愛羅はリーに、自分にとって大切な者が必ずしも”善”であるとは限らないと言いました。

リーは悪人を大切な人と思うなんて考えられないと言いますが、我愛羅は否定します。

 

我愛羅:「いや… たとえそれが”悪”だと分かっていても 人は孤独には勝てない」

 

ナルトと同じように人柱力である我愛羅は、自里の人々から忌み嫌われてきたので、絶望的な孤独に陥っている者の気持ちが分かるのです。

(217話・コミック巻ノ24)

 

白も再不斬に拾われたことで、孤独から救われたのだと思います。

人との繋がりは、人間にはなくてはならないものなのです。

 

(25話は、コミック巻ノ3に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ3) (ジャンプ・コミックス)

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