抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・680話「もう一度」

足下の地面が消えて、落下していくナルトとサスケ。
意識がないまま落ちていくオビト、サクラとカカシも真っ逆さまです。
下は煮えたぎる溶岩。
カカシは幻術かと分析しますが、どうもそうではなさそうです

 

サスケは鷹を口寄せします。取りあえずサスケはセーフ。
ナルトはサスケに、カカシ達を助けるように叫びます。
一瞬辺りの様子を伺うサスケ。

 

サスケはナルトの方を助けます。
鷹の両足でナルトを掴みます。まさに鷲づかみ。この鳥は鷲ではなく鷹ですけどね。

 

カカシはサクラを抱えたまま、クナイを上手く使って、巻物をロープ代わりにしてぶら下がっていました。
オビトは片手の掌をクナイで突かれて、磔になったイエス・キリストように、岩にぶら下がっています。

乱暴な方法ですが、カカシにはこれしか方法がありませんでした。
心の中でオビトに詫びるカカシ。

 

サクラの額当てがはずれて落ちます。
カカシは溶けていく額当てを見て、これは現実であることを確認します。
空間を口寄せしたのかと考えています。
カカシは常に頭が回転していて、分析を怠りません。彼の面目躍如たるところです。

 

ナルトとサスケは鷹の背中に乗っています。
ナルトは後ろを振り返り、ぶら下がっているカカシ達を見て「さすがカカシ先生」とほっとしています。
サスケはナルトに前を見るように言います。
目の前にいるのはカグヤ。

 

サスケ:「ナルト…お前にここでハッキリ言っておく  オレとお前 どちらか一方が死んだとしても この世は終わりだ  お前の六道の陽の力と…オレの陰の力だけが 目の前のアレを封印できる  そうできなければ人類は滅亡する事になる オレ達は何があっても死ぬ訳にはいかん」

 

サスケは無限月読の時、カカシとサクラは、たまたまナルトの側に居ただけだと言います。
677話でサスケが、須佐能乎で無限月読から守った時のことですね。

 

サスケ:「この意味分かるな……

 

寂しそうなサクラ。

 

ナルト:「分かってんよ…

 

サクラはナルトもサスケと同じなのかと、ショックを受けています。
ナルトはサスケの言うことも分かっているつもりだと言います。

 

ナルト;「けど… こういう時は体が勝手に動いちまうもんだろ …橋での時−−

 

27話のことですね。
サスケは”波の国任務”で白の攻撃からナルトを守って、全身を千本で射貫かれて倒されてしまいました。
白はナルト達を殺せずに仮死状態にしたのですが、その時はサスケが死んだと皆が思っていました。
さっきナルトが言った「体が勝手に動く」は、その時のサスケの言葉をなぞったものです。
サスケは無言のままです。

 

ナルト:「まあいいや−−− この意味… お前なら分かるよな…サスケ

 

サクラはこの状況においては、サスケの判断が正しいことを理解しています。
でも心情的には辛い。ナルトのフォローに、サクラは感謝します。

 

ナルトは判断が正しくても、人は理屈通りに動けないことを指摘しています。
ここでは理性が優先するサスケと、情が優先するナルトとが対比されています。
それと同時にサスケに、自分の昔取った行動を思い出させています。

 

そうこうしているうちに溶岩の熱で、カカシが捕まっている巻物に火が点きます。
巻物が焼けて、カカシとサクラが落下してしまいます。

 

ナルト:「くそ!!

 

九尾のチャクラを伸ばして、2人を掴もうとするナルト。
そうはさせじと、カグヤがナルトを攻撃します。
サスケが須佐能乎で防御に入ります。

 

カグヤの髪針が千本のように鷹の翼に突き刺さります。
サスケはカグヤが白眼で、鷹の点穴を突いたことに気がつきます。
同時にサスケの左腕の点穴も突かれています。
鷹は飛べなくなるし、サスケは須佐能乎がコントロールできないようです。

 

一方、無限月読から免れた、穢土転生の火影達。
柱間は自分を拘束していた黒い棒が消えて、動けるようになりました。
同様に扉間も自由の身になり、強大なチャクラを感知した場所へ向かいます。
三代目ヒルゼンも移動中。
ミナトを攻撃したマダラの求道玉も消えています。ナルトのところへ向かうつもりです。
4人の歴代火影達が動き出しました。

 

カカシ:「ナルト… お前!?

 

カカシ、サクラ、サスケ、鷹まで、ナルトの九尾のチャクラでキャッチされています。
ナルトはふわふわと宙を浮いています。

 

カカシ:「確かに…六道のチャクラを得たマダラも浮いていたしな」

 

カカシはどんなにピンチの時でも思考が働いています。これが彼の最大の武器ではないでしょうか。
驚いているのはナルト本人のようです。

 

ナルトはすぐに自分に備わった能力に気がつきます。
影分身を出して、分身にカカシとサクラを託します。
サスケは自分の腕に刺さった髪針を抜き取ります。

 

カグヤ:「チャクラとは… ワラワ唯一のもの  もう一度チャクラを一つにする!!

 

ナルト達に突進するカグヤ。
六道の求道玉で反撃するナルト。
2人のチャクラがぶつかり合い、ものすごい衝撃波が起こります。
はじき飛ばされるナルト。

 

ナルト:「サスケ!! 今だ!!

 

カグヤの頭上から、サスケが須佐能乎で攻撃。

 


仲間が全滅しそうなとき、誰を優先して助けるのか。
ナルトの答えは「何が何でも全員助ける」、サスケは「勝つために優先順位をつける」でしょうか。
智のサスケと情のナルトの対比が描かれますが、本当はサスケも情の人です。
うちは一族は情の濃い者が多く、そのため一度憎しみや悲しみに囚われると反動が大きいことは、619話で穢土転生された扉間が語っています。

 

実は第七班の中で、初めて仲間のために命を投げ出したのは、サスケでした。
27話で白がナルトを狙ったとき、体を張ってナルトを守って死んでいます。(実際は仮死状態にされた)
中忍選抜試験でも非情になり切れないサスケの描写は、ところどころで見られます。

 

ナルトはサスケの本質を知っているので、わざとサスケが使った言葉を繰り返しているように思えました。
この場はナルトの方が一枚上手かな。

 

イタチの真実をトビ(=オビト)から聞いて、一度は木ノ葉への復讐を選んだサスケ。
カカシを含めた元第七班全員を本気で殺そうとした時は、兄の愛情という大切なものを失った喪失感で、サスケが最も狂っていた頃だったと思います。
その後、穢土転生されたイタチと再会して、改めてイタチの愛情の大きさや、自分との価値観の違いを知ります。実年齢以上にイタチは大人でした。

 

幼い頃からイタチは越えられない壁として、いつもサスケの前にいました。
優しくて強い兄は誇りでもあり、憧れの対象でもありました。
サスケはイタチに比べて、考えの浅い自分に気がついたのではないでしょうか。
それからサスケは考えを深めていき、どうしてこんなことになったのか、自分なりの答えを見つけようとします。
大蛇丸の協力を得て、穢土転生された過去の火影達の話を聞き、イタチの意思を受けて連合軍側に付きます。

 

サスケはまだ本心を、ナルト達に語っていません。
一見サクラを無視し、勝つためにカカシとサクラを冷たく切り捨てるように見えますが、これまでのサスケの成長過程を見ると、あながちそうとは言えない気がします。
元々感情を表に出さない子なので、余計に冷たく見えています。

 

ナルトが言った「勝手に体が動く」は、かつて自分がナルトに言った言葉です。
ナルトは思ったことをすぐに口にするタイプなので、ナルトに諭されているように見えますが、本当はサスケ自身が一番よく分かっているのだろうと思います。

 

しかしカグヤのような強大な敵を前にして、あまり余裕はありません。
勝つために多少の犠牲はやむを得ないとするのは、サスケにとっても苦渋の選択だったと思います。