抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・31話「それぞれの戦い…!!」

イナリがギイチの家を訪れています。

ギイチは19話で、橋作りを止めようと提案した人です。

イナリはギイチに、一緒に橋に行って戦って欲しいと頼みます。

ギイチは英雄と呼ばれたイナリの義父だってもういない、戦えば多くの犠牲が出て後悔すると言います。

イナリは自分も後悔したくないが、だからこそ戦うんだと言います。

男なら後悔しない生き方を選べと言った、義父カイザ。

泣き虫のままじゃ何も守れないとわかったと、ギイチに言います。イナリの決意は固い。

イナリは町の皆に声をかけますが、誰も一緒に来てくれません。

一人で橋に向かうことにしました。

母ツナミの制止を振り切って出かけます。

 

橋ではナルトが白を探しています。

霧が晴れて視界が明るくなってきました。

人影が見えたので、ナルトはそこへ向かいます。

ナルトが見たものは、カカシと再不斬の間に立っている白でした。

カカシに心臓を貫かれて血まみれになっています。

ナルトもタズナもサクラも呆然としています。

 

白は命懸けで再不斬を守ったのです。

 

再不斬:「…… …… 見事だ…白」

 

白は心臓を貫かれたまま、カカシの腕を押さえています……が、カカシは白が目を開けたまま死んでいることに気がつきます。

再不斬が大刀を振りかざして突っ込んできました。

再不斬は白が「ただの道具として(でもいいから)側に置いてください」と言ったことを思い出します。

 

再不斬:「まったくオレは よくよくいい拾いものをしたもんだ 最後の最後でこんな好機を与えてくれるとは!!

 

それを聞いたナルトの表情が変わります。

カカシは白の体を抱えて避けます。

再不斬の言葉に怒りを覚えるナルト。

 

カカシ:「ナルト… お前はそこで見てるんだ」

 

カカシは白の死体を横たえて、開いている目を閉じさせます。

 

カカシ:「こいつはオレの戦いだ!!」

 

ナルトの姿を見つけたサクラは、無事で良かったと声をかけます。

 

サクラ:「あれ? サスケ君は? ナルト!! サスケ君はどこなのォ!!

 

ドキッとするナルト。サクラに何も言えません。

その様子を見て、サクラとタズナは何があったのか気づきます。

全身を震わせるサクラ。

タズナは一緒に行けば先生の言いつけを破ったことにはならないと言って、サクラについてサスケを探しに行きます。

サクラとタズナは全身に千本が刺さって倒れているサスケを見つけます。

放心状態のサクラ。顔を背けるタズナ。

 

サクラ:「…… 冷たい… …これは もう幻術じゃ…ないのね…」

 

タズナは自分に遠慮せずに、素直に泣いていいと言います。

 

サクラはタズナに言います。

自分はアカデミーの試験でいつも100点だった。100以上もある忍びの心得を全部覚えていた。ある日のテストでもいつものように答えを書いた。その問題は「忍の心得 第25項を答えよ」。

 

サクラ:「…”忍は どのような状況においても感情を…表に出すべからず…任務を第一とし…何ごとにも 涙を…見せぬ心を持つべし”って…」

 

サクラは堪えきれずに、サスケに取りすがって号泣します。

タズナは忍というものの辛さを目の当たりにして言葉が出ません。

サクラの声はナルトにも聞こえます。

 

一方カカシと再不斬の戦いは続いています。

カカシの方が優勢です。再不斬の動きに切れがありません。

 

カカシ:「今のお前ではオレには勝てないよ お前は気付いていない……」

 

戦いの様子を見に誰かがやってきます。

 

本当に忍は戦いの道具なのか。感情を殺せるのか。

この問いが浮き彫りになるエピソードです。

忍とは何か、忍の存在意義そのものが問われる大きなテーマです。

これは物語が完結するまで続く、大疑団なのではないかと思います。

 

NARUTOの物語では、厳密には悪役は存在せず、お互いの価値観の相違や利害関係により、対立せざるを得ない人達が描かれています。

殺戮を楽しんでいるように見える暁の飛段も、彼が信じる宗教教義によるもので、もし彼が信じる神(ジャシン教)の教えが違うものだったら、まったく別の行動を取っている可能性があります。

 

自分にとって大切な人を失った喪失感は、孤独に匹敵する辛さです。

人間である以上、忍であってもなくても共通の心理です。

大切な人を失う辛さは同じなのに、なぜ人は対立するのか。

同じ苦しみを持つもの同士として、理解し合い、和解することはできないのか。

人間が抱える矛盾を、NARUTOはエピソードを積み重ねて描いていきます。

 

(31話は、コミック巻ノ4に収録されています)