抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・32話「忍という名の道具」

カカシと再不斬の戦いは続いています。

今ひとつ動きが鈍い再不斬。カカシがクナイで止めを刺しに行きます。

再不斬も大刀で応戦。

カカシは再不斬を仕留め損ないますが、クナイで腕を負傷した再不斬は、両腕が使えない状態になりました。再不斬はもう印が結べません。

 

そこへ現れたのは、大勢の部下を引き連れたガトーでした。

ガトーは元々再不斬に金を払うつもりはなく、仕事が成功しても始末するつもりだったのです。

始めから忍者同士の討ち合いで弱ったところを狙っていたのでした。

 

再不斬はカカシに、タズナを狙う理由がなくなった以上、お互いに戦う理由がなくなったと言います。カカシも同意です。

 

ガトーは倒れている白に目を留めて、18話で再不斬のアジトで腕を骨折させられたことを思い出します。

白が死んでいることに気がつき、頭を蹴飛ばします。

怒りが沸騰するナルト。ガトーに向かって行きます。

カカシは敵の人数の多さに、迂闊に動くなとナルトを押さえます。

ナルトの怒りは再不斬へ向けられます。

 

ナルト:「お前も何とか言えよ 仲間だったんだろ!!

 

再不斬は白は死んだんだ、黙っていろと言います。

 

ナルト:「あんなことされて 何とも思わねェのかよォ!! お前ってば ずっと一緒だったんだろ!!

 

再不斬は言います。

ガトーが自分を利用したように、自分も白を利用しただけ。

忍の世界では利用する人間と、利用される人間しかいない。

忍はただの道具で、自分が欲しかったのは白ではなく、白の能力だったので未練は無い。

 

ナルト:「お前ってば… 本気でそう言ってんのか…」

 

ナルト、鋭いってばよ……。

カカシはナルトを制します。もう再不斬と争う理由はありません。

しかしナルトは違います。

 

ナルト:「うるせェー!! オレの敵はまだこいつだァ!!!

 

ナルトは白を指さしながら言います。

 

あいつは…… あいつはお前のことがホントに好きだったんだぞ!!

 

森の中での白との会話を思い出します。

 

あんなに大好きだったんだぞ!! それなのに ホントに何とも思わねーのかァ!!

 

再不斬は後ろを向いたまま終始無言です。

 

ナルトは再三、再不斬に本当に何とも思わないのかと問います。

再不斬みたいに強くなったら、そんな風になってしまうのか。

再不斬の為に命を捨てたのに、自分の夢も見られないで道具として死ぬなんて辛すぎる。

ナルトは泣きながら訴えます。

 

再不斬:「……小僧 ……それ以上は… 何も言うな……」

 

再不斬も涙を流していました。

再不斬は白のことを理解していました。白が心を痛めながら戦っていたことを。

白は優しすぎた。

再不斬は最後にナルト達とやり合えて良かったといいます。

忍も人間。ナルトの言うとおり、感情のない道具にはなれない。自分の負けを認めます。

再不斬はナルトにクナイを渡すように頼みます。

両腕が使えない再不斬はクナイを口にくわえて、そのまま敵に向かっていきます。

 

「鬼人」の名の通り、凄まじい再不斬の気迫と殺気です。

刃傷を受けながら次々敵を倒し、ターゲットのガトーを捉えます。

最後の力を込めて、再不斬はガトーの首を刎ねます。

傷だらけの再不斬はついに力尽きます。

 

「もう… さよならだよ白… 今までありがとう… 悪かったなあ…」

 

カカシは再不斬が白の死で、動揺していることを見抜いています。

31話で再不斬に「気付いていない」と言ったのはそれです。

サクラが「忍は感情を表してはならない」とアカデミーで教わったことは、他国でも同じでしょう。

再不斬はそれを忠実に実行してきたのですが、ナルトの言葉で本当に自分の気持ちに気がつきます。

意識の下に無理矢理押さえ込んでいて、本人でさえ忘れていた感情を掘り起こされたのでしょう。

 

ナルトの問いに、再不斬は道具としての白を求めていたので未練は無いと答えました。

しかしナルトは本気で言っているのかと問い返しています。

私は再不斬が自分に嘘をついていると、ナルトが感じ取ったのではないかと思います。

ナルトは学校の勉強ができる頭の良さはありませんが、本質を見抜く目があります。

余計な知識や既成概念がない分、ストレートに物事の本質に迫れるのです。

それに表面的には見えませんが、ナルトは苦労人です。

幼少の頃から非常に葛藤してきた分、人の心の動きには敏感なところがあります。

この2つの要素が、他の忍にないナルトの特徴だと思います。

 

他に私が注目しているのは、”波の国任務”で一番キモになる、29話からの場面にサスケがいないことです。

もしサスケがこの状況を見ていたら、何を思ったでしょうか。また何を受け取ったでしょうか。

サスケの復讐心が消滅するとは思えませんが、もう少し違った歩みをしたのではないかと思ってしまうのです。

 

(32話は、コミック巻ノ4に収録されています)