NARUTO・10話「2匹目」
扉絵に注目です。
ナルトの修業の描写になっています。
壁にはトレーニングメニューが貼ってあり、「これを毎日やる」、「修業あるのみ」、「打倒サスケ!!!」の貼紙も見えます。
見える化して、モチベーションを上げているんですね。
マラソン10km
うでたて100
ふっきん100
はいきん100
ベタなメニューですが、体力作りは基本。
これくらい漢字で書きなさいよ、ナルトォ〜。
背筋の次は、術・印になっています。うん、これはいかにも忍者らしい。
締めは「カカシ人形をなぐる100発」……って、何?
本を見ながら術の練習をしているナルトがいます。
火影になる目標に向かってに、ナルトは必死でがんばっているのです。
さて、9話で謎の二人組に狙われたナルト。
カカシをやった鎖が、ナルトを襲います。この二人は明らかに忍者。
動いたのはサスケ。
クナイを飛ばして、上手く鎖を木に固定させ動きを封じます。
鎖に引っ張られて二人が引き寄せられたところに蹴りを入れ、二人の腕と鎖を繋いでいる忍具を抑えて、鎖を外します。
すぐれた体術と状況判断です。さすが今年度No.1ルーキーです。
鎖は外れましたが、鋭い爪が付いた忍具は手に装着されたままです。
二人はそのまま、サスケ以外の三人に襲いかかります。
背後から迫る敵に動けないナルト。
サクラ:「く…! 来るっ!!」
自分がやらなきゃと、タズナを突き飛ばし、敵の間に割り込みます。
おお!意外と勇気があるわ、この子。
サクラとタズナの危機に反応するサスケ。すばやく移動し、サクラと敵の間に立ちふさがります。やる気十分のサスケ。
しかし、敵はカカシが捕獲してしまいました。
サクラ:「カカシ先生…! 生きてたァ!?」
サスケ:「フン… 出しゃばりが…」
ナルトは声も出ません。カカシが変わり身を使っていたことに気がつきます。
わざとカカシは、すぐにナルト達を助けませんでした。
率直なカカシの感想は、
まさかナルトが、ここまで動けなかったとは思わなかった。
サスケはよくやった。
ナルトは、サスケとの差を思い知らされます。
自分は何も出来なかった。初めての実戦なのに、サスケは少しも怖いと思わなかったのか。
ナルトは恐怖で動けなかったようですね。
サスケ:「ケガはねーかよ ビビリ君」
ナルトは返す言葉がありません。
敵の攻撃で手の甲に傷を負っていたナルト。敵の忍具には毒が塗ってありました。
傷口を開いて毒血を抜かないといけない、あまり動くなとカカシは言います。
捕獲した敵は、霧隠れの中忍らしいです。彼らは、どうして自分たちの動きを見切れたのか、カカシに問います。
数日雨が降っていない晴れの日に、水たまりなんてないはずと答えます。
カカシは早くから敵の存在に気がついていたのでした。その気になれば瞬殺できたのを黙認したのは、敵のターゲットが誰なのかを確認するため。ターゲットはタズナです。
カカシ達は、タズナが忍に狙われているとは聞いていません。Cランク任務だったのは、ギャングや盗賊などの、単なる武装集団からの護衛だったからです。
忍者が相手となるとBランク以上。
依頼で嘘をつかれると困る、これでは任務外になると、カカシはタズナに伝えます。
サクラは、この任務は自分達には早すぎる、ナルトの毒血を抜くにも麻酔がいるし、里へ帰って医者に診せようと、中止するよう促します。論理的な理由付けをしますね。頭が良い。
カカシも荷が重いと判断。ナルトの治療ついでに里へ戻ろうと言います。
それを聞いてナルトの表情が変わります。
クナイで傷口を突き刺すナルト! 驚く四人。
どうしてこんなにもサスケと違うのか。
アカデミーの頃を思い出しているのかもしれませんね。
自分は強くなっているはずなのに。
任務をこなして、一人で毎日、術の特訓もしていたのに。
扉絵のナルトがここで繋がります。陰で努力していたんですね。
ナルトの心の声、
「……オレってば もう二度と助けられるようなマネはしねぇ… おじけづいたり逃げ腰にもならねェ… オレはサスケにゃ負けねェ… この左手の痛みに誓うんだってばよ…」
ナルト:「オレがこのクナイでオッサンは守る 任務続行だ!!!」
敵側では、襲撃に失敗したことをなじっているオヤジがいます。
元腕利きの忍者だというから雇ったのにと悪態をついています。
忍者達のリーダー格と思われる男が、今度は自分がやると言います。
男は霧隠れの鬼人と呼ばれた、桃地再不斬(ももちざぶざ)。首斬り包丁と呼ばれる巨大な刀をオヤジに突きつけます。
強敵出現!
初めての忍者対決で、ナルトは恐怖で全く動けませんでした。むしろ負傷しています。
意外だったのはサクラ。タズナに襲いかかる敵を前に、タズナを突き飛ばしてクナイを構えます。その場でやるべきことを判断する力があります。勇気もあります。この子は土壇場に強いタイプかも。
サスケは平気な顔で、次々と敵の動きを封じます。むしろ押していました。カカシが手を出したことも、サスケは不満そうです。
サスケの目的は「ある男を殺すこと」。忍者の戦いは殺すか殺されるかです。
サスケは子供ですが、この覚悟ができているのでしょう。
ナルトの目標は「火影になって里の皆に認められること」。ナルトの想念の中には「死」のイメージが見られません。
この差が明暗を分けました。
どんなに筋トレをしても、術の特訓をしても、実戦になれば常に死がつきまといます。
恐怖心があっては実戦で役に立てません。
陰で努力しても、本番で力を出せなければ結果はついてこない。
ナルトはいやでも思い知らされたと思います。
火影になるためにがんばっているナルトですが、もう一つの原動力が明示されます。
サスケの存在です。
常に自分の先を行くサスケに追いつきたい、負けたくないというライバル心が、ナルトの背中を押しています。
火影になるという目標は、子供のナルトには大きすぎるので漠然としがちです。
確実に一歩ずつ進むには、身近な目標をもつことは有効です。
まあ今のところ、ルーキーNo.1のサスケと、ルーキー最下位のナルトでは勝負になっていませんが。
ナルトはずっとひとりぼっちでした。
そのナルトが、他者との繋がりの中で影響を受けながら成長していく姿に、声援を送らずに入られません。
(10話は、コミック巻ノ2に収録されています)
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