抹茶みるく日記

感想や日々の雑考のブログです。感想は作品の評価より、自分の思考を深め、得るものがあるかどうかを重視しています。

NARUTO・21話「森の中の出会い…!!」

木登り修業を始めてから6日目の朝。

ナルトは森の中で、大の字になって眠っています。

タズナの話を聞いてから、毎晩一人で木に登っているようです。

 

同じ頃、再不斬のアジトにいる白は、着替えをして森に出かけます。

薬草を摘みに行くようです。再不斬のためですね。

髪を下ろしていると、まるで女の子に見えます。

 

白は眠っているナルトを見つけます。

白は額当てに目を留めて、先日の戦闘で、お前は誰だと叫んだ少年だと気がつきます。

白はナルトに近づきます。

 

そのころタズナ家では、今朝も帰らないナルトのことが、話題になっていました。

サクラは、チャクラの使いすぎで、今頃死んでるんじゃないかと言います。この子は、全然心配している様子がない。

ツナミは、子供が真夜中に一人で外にいて大丈夫かと心配します。

カカシは、あいつもいっぱしの忍者だから大丈夫と言います。

サスケは、本当に死んでるんじゃないか、あのウスラトンカチと言います。サスケ独特の表現です。サクラよりサスケの方が、ナルトを心配しているとは……ね。

四人の反応が違っていて面白い。

イナリは黙っています。

 

白の手がナルトに伸びます。

 

白:「こんなところで寝てると 風邪ひきますよ」

 

ナルトの肩を叩いて起こします。

あ、殺すんじゃなかったのね。

 

目が覚めたナルトは、面の少年だとは知らず、一緒に薬草摘みを手伝います。

白は手伝わせてすみませんと言います。礼儀正しい子です。

 

ナルト:「姉ちゃん 朝から大変だな」

 

白を女の子だと思っているようです。

 

君こそ朝から何をやっていたのと、白は尋ねます。

 

ナルト:「修業ォ!!

 

力強く答えるナルトでした。

白は、額当てからすると忍者なのかと尋ねます。

忍者だと認めてもらえて、ナルトは嬉しくてたまりません。

白はすごいねと褒めます。(って、白も忍者なんですけど)

 

白:「何で 修業なんかしてるんですか?」

 

自分の正体を隠しているのは、ナルトと話をしたいからなのでしょう。

何かを確認したいために……。

 

ナルトはもっと強くなりたいからだと答えます。

もう十分強そうに見えると、白は言います。

 

ナルト:「ダメ! ダメ! オレってば もっともっと強くなりてーの!」

 

それは何の為にと、さらに白は尋ねます。

21話の重要なポイントです。

だんだん核心に迫っていきます。

 

ナルト:「オレの里で一番の忍者になるため! みんなにオレの力を認めさせてやんだよ! それに今は あることをあるヤツに証明するため!」

 

最後の理由は、20話でナルトが言ったことですね。

 

白は黙って聞いていましたが、静かに口を開きます。

 

白:「……それは 誰かの為ですか? それとも自分の為にですか?」

 

深い! この問いの深さが、ナルトに分かるでしょうか。

白は思慮深くて精神性が高い。

 

ナルト:「…………は?」

 

やっぱり分かってないよ、この子……。

ナルトのわかりやすい反応に、白はクスっと笑います。

 

白:「……君には 大切な人がいますか?」

 

ナルトが問いの意味を理解していないと知り、より具体的な質問に変えてきましたね。

この物語のテーマに関わってくる問いです。

なぜこんな質問をされるのか、ナルトには全然わかりません。

 

白は再不斬と出会った時のことを思い出しています。

幼い頃の白。鎖が切れた犬の首輪のようなものをしています。

この子は鎖に繋がれていたのか?

顔を上げる白。真っ直ぐナルトを見つめます。この時の白の視線には、少しも揺らぎが感じられません。

 

白:「人は… 大切な何かを守りたいと思った時に 本当に強くなれるものなんです」

 

思いがけない白の言葉でした。

 

ナルトは思い出します。

カイザが命を賭けて町の人々を守ったこと。

仲間は絶対に殺させないと言ったカカシ先生の言葉。

ミズキの攻撃から守ってくれたイルカ先生のこと。

自分もイルカ先生を守ろうとして、ミズキに立ち向かったときのこと。

ナルトは笑顔で言いました。

 

「うん! それは オレもよく分かってるってばよ」

 

白も笑顔で返します。

 

白:「君は強くなる… またどこかで会いましょう」

 

後ろを向いた白の表情は、厳しいものに変わっていました。

 

白は立ち去り際に、自分は男だと説明します。

「サクラちゃんより可愛いのに!?」と、衝撃を受けるナルトでした。

白とすれ違いにサスケがやってきます。ナルトを心配して来たのでしょうね。

 

修行開始から7日目の朝。

ナルトはまた夜から一人で出かけて戻りません。

サスケも散歩に行くと出て行ったままです。

朝ご飯なのに二人が戻らないので、カカシとサクラは心配して森へ来てみました。

 

クナイが落ちてきたので見上げると、ぐったりしたナルトが木の枝にいます。

あんなに高いところまで登れるようになったと、サクラもカカシも驚きです。

登れるようになったと喜ぶナルトですが、滑って枝から落ちそうになります。さすがにこの高さから落ちたら危険。

助けに行こうとするカカシですが、まだ体が十分動きません。

 

ナルト:「なーーーーーんちゃってェーーーーーーーーーーーー!!

 

枝に逆さまに足の裏でぶら下がるナルト。チャクラコントロールがだいぶ上手くなっている証拠です。

カカシはナルトの成長を確認します。

 

しかし油断したナルトは、枝から離れてしまいます。万事休すと思ったとき、サスケが足の裏で枝に逆さまに立ち、手でナルトの足を掴んで助けます。サスケもチャクラコントロールが上達しています。

カカシは二人の成長ぶりに満足げです。

 

イナリは自分の部屋で、ナルトのことを考えていました。証明してやると言ってから、ずっと修業に励んでいるナルトが気になっているようです。

 

タズナ家で、リハビリ中のカカシ。

背中にタズナとサクラをのせて、指一本で指立て伏せをしています。え〜〜!?

これもチャクラコントロールのなせる技なのか。

 

タズナは自分が任務の内容を偽ったのに、どうしてみんなが居てくれるのかと尋ねます。

 

カカシ:「義を見てせざるは勇なきなり 勇将の下に弱卒無し! 先代の火影の教えです」

 

先代の火影というのは、カカシの先生だったミナトのことですね。カカシの子供時代の写真に写っていた男性です。

現在の火影は三代目ですが、三代目が存命中にミナトを四代目に指名したので、ミナトが亡くなった後、再び三代目が火影に就任したという経緯があります。

忍はお金だけで動くわけではないとカカシは言います。

体もほぼ回復しました。

 

一方、再不斬も復活しています。

カカシ隊第七班VS再不斬&白。決戦の時が近づいています。

 

21話の主役は白です。

彼自身が抱えている思いと生き方は、この物語のテーマと大きく関わっています。

ナルトは今回の任務で、大事なものを獲得します。それを与えてくれるのが白です。

ナルトが火影になりたいのは、自分を認めて欲しいからで、そのために強くなりたいと思っています。

しかしその強さを求める気持ちは、一歩間違うと、強い自分を誇りたいという、単なる自己顕示欲と変わらなくなります。

 

何のために強さを求めるのか。

本当の強さとは何か。

 

これがNARUTO第一部”少年篇”で、特に強く提示されているテーマです。

白はそのテーマを物語に投入する、最初のキーパーソンと言えるでしょう。

白に指摘されて、ナルトは強くなる意味を考えています。

そして白が言うように、自分も大切な人を守りたいと思ったときにがんばれたことを思い出します。

今まで潜在意識ではわかっていたことを、顕在意識ではっきり認識できた瞬間です。

今後ナルトが岐路に立った時に、この気づきが基準になって彼を導いていきます。

 

”波の国任務”はナルトの根幹部分を作った、最初の大きな試練であり、最も影響を受けた闘いだったと思います。

 

(21話は、コミック巻ノ3に収録されています)

 

NARUTO (巻ノ3) (ジャンプ・コミックス)

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