NARUTO・22話「強敵出現!!」
夜です。
ナルトとサスケは高い木の天辺にいます。
サスケ:「帰るか」
ナルト;「オウ!」
サスケが疲労困憊したナルトを支えるようにしながら、二人はタズナ家に帰ります。
二人とも天辺まで登ったと報告するナルト。
明日から二人はタズナの護衛に付くように、カカシ先生から指示が出ました。
木登り修業は卒業です。
疲労でドロドロのナルト。テーブルの上に、だらーっと突っ伏しています。
イナリはその姿を見て、激流に飛び込んでボロボロになったカイザの姿と重ね合わせます。
同時にその記憶は、公開処刑されたカイザの姿も思い起こさせます。
なぜそんなに必死にがんばるのかと、イナリはナルトに食ってかかります。
修業してもガトーの手下には敵わない、かっこいいことを言っても本当に強いヤツにはやられてしまうと言います。
急に大声を出したイナリに、みんなびっくりです。
イナリは感情を抑えきれずに泣きながら、ナルトを見ているとムカつくと、さらに大声でナルトに噛みつきます。
イナリ:「この国のこと 何も知らないくせに出しゃばりやがって! お前に ボクの何が分かるんだ! つらいことなんか何も知らないで いつも楽しそうにヘラヘラやってるお前とは違うんだよォ!」
突っ伏していたナルトが反応しました。
顔を上げながら……、
ナルト:「……だから…… 悲劇の主人公気取って ビービー泣いてりゃいいってか……
お前みたいなバカはずっと泣いてろ! 泣き虫ヤローが!!」
すごい形相でイナリを睨みます。
ナルトの気迫に押されて、イナリは何も言い返せませんでした。
サクラはナルトに、少し言い過ぎだと注意します。
ナルトは部屋を出て行ってしまいました。
カカシ:「ちょっといいかな…」
一人でいたイナリに、カカシが話しかけます。
ナルトは不器用だから悪気があったんじゃないんだと、優しく話します。
ナルトもイナリと同じように父親がいないこと。むしろ両親を知らないこと。友達が一人もいなかったこと。むしろイナリより辛い環境だったこと。
それでもいじけたり拗ねたりして泣いているところは見たことがないと、カカシは話します。
ナルトは誰かに認めてもらいたくて一生懸命。その”夢”のためならいつだって命懸け。
カカシ:「あいつは もう泣き飽きてるんだろうなぁ」
グッと来ちゃいますね、この台詞。
ナルトはカカシの前で涙を見せたことはないけれど、小さい頃からずっと一人で泣いてきているでしょうね。
ナルトはまだ12歳ですが、幼い頃に体験した悲しみや苦しみは、人によっては一生分に値するかもしれません。
ナルトはカイザと同じように、強いことの本当の意味を知っていると、カカシは言います。そしてイナリの気持ちを一番分かっているのもナルトだと。
ナルトはイナリのことを放っておけないみたいだと伝えます。
翌朝です。
タズナの護衛に復帰したサスケとナルトですが、ナルトは限界まで体を酷使したため目を覚ましません。
ナルトはこのまま休ませて、他のメンバーはタズナと共に出発します。橋作りも完成に近づいているようです。
ガトーが無線機で(携帯電話じゃないよね?)、再不斬に襲撃の準備ができたかどうか確認をしています。再不斬達も動き出しました。
寝過ごしたナルトは置いて行かれたことを知り、慌てて出かけます。
途中で何かに気がつくナルト。
一方橋作りの現場では、工夫達が倒れています。
タズナ家でも異変が……。
ガトーの手下が狙っています。
工事現場には霧が立ち込めてきました。奴が来る。一気に緊張が高まります。
この霧は再不斬の霧隠れの術。サスケの全身が震えています。
再不斬:「久しぶりだなカカシ 相変わらずそんなガキを連れて… また震えてるじゃないか… かわいそうに…」
カカシ達は再不斬の水分身に囲まれてしまいます。
サスケは初戦では恐怖で震えていましたが、今回の震えは武者震い。
カカシ:「やれ サスケ」
サスケは全ての分身を倒します。
水分身を見切ったサスケの成長ぶりを、再不斬も認めます。
再不斬:「強敵出現ってとこだな… 白」
白:「そうみたいですね」
本体のお出ましです。
カカシ達から見た再不斬と白。再不斬と白から見たカカシ達。
どちらにとっても強敵の出現です。
初めはバラバラだったナルト、サスケ、サクラでしたが、同じ時間を共有することで、少しずつ仲間意識が芽生えています。
行動を共にしていれば、お互いに知らなかった面を発見しますし、長所も短所も見えてきます。寮に入った学生同士が、仲良くなるのと同じですね。
サスケはナルトとサクラを足手まといだと決めつけていました。
しかし再不斬との初戦では、ナルトの機転で窮地を逃れていますし、木登り修業では、
サクラの方がチャクラコントロールは上であると知ります。
徐々にサスケは、ナルトとサクラの長所を認め始めています。
サスケの目標は”ある男を殺すこと”ですが、それとは別に、仲間との繋がりをジワジワと感じ始めているのが伺えます。
特にナルトとサスケは、お互いがライバルであり、窮地の時には助け合う仲間として、関係を構築しつつあります。
”波の国任務”によって、第七班が1つのチームにまとまっていきます。
一方イナリはカイザのことがあるため、ナルトの頑張りを素直に認めることができません。
また、まだ幼いため、見た目だけでしか人を判断できません。
ナルトは人前では、明るくひょうきんな面しか見せていないので、カカシの話を聞いて、初めてナルトの別な顔を知ります。
人には誰でも光と影の部分があります。光が強い人ほど、影の部分も濃いものです。
たとえば元アメリカ大統領のクリントン氏は、生後3ヵ月で父親が亡くなり、母親は何度か再婚を繰り返しています。子供時代はアル中の義父から家庭内暴力を振るわれたり、ライフル銃で撃たれそうなるという悲惨な日々を送っていました。
ナルトの明るさの裏には影があり、カカシはそれを理解しています。
人が成熟するとは、「広く深く人間理解ができること」でもあります。
12歳のナルト達は、まだまだ言動に幼さが残ります。
しかし22話までの物語を読むと、三人の中で一番、他者の立場や気持ちに敏感に反応して配慮しているのはナルトです。
意外と一番成熟しているは、ナルトなのかもしれません。
(22話は、コミック巻ノ3に収録されています)
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